記録帖 八  魔女の宝石その後




 学が帰った後、まだあの青年は館にいた。

「忙しい喫茶店のマスターがこんなところに用もなくぶらぶらしていていいのかしらね?」

そう言いながら、お茶を出す。言葉はきついが、拒絶するほど冷たい言葉は含まれていない。

そんな所が、彼を認めているという証明だが、相変わらずきつい言葉やなと弱々しく返事をするロン。

「しかし、本当にいったい何のようでまだここにいるわけか、教えてほしいなぁ?」

京は飲んでいた紅茶を飲み終え、カップをテーブルに置く。

「せやかてな・・・。しっかし、あのにいちゃんには驚くな。何せ、あのばぁさんの名前を使うんやからさ。」

「彼女に失礼でしょう?彼女がばぁさんだったら、私達はじぃさんになりますよ?ロン。それで、用事は何ですか?」

わかった話すといい、真剣な顔になって話し出す。仕事をしているときの彼の顔だ。

「今回、あの男、闇野が仕事で出とったやろ?」

「確かにいましたね。それで?」

「今回もあの女が関わってるみたいという情報があってな・・・。」

その言葉にやはりということが読み取れる。

「依頼人はあの女とちゃうけど、あの女が依頼人にあの石がほしいと言って、闇野に依頼したっていう経路や。」

「なるほどね・・・。」

だから、今回は手を引いたというわけだろう。あの女は決して自分達には手を下さないからだ。

「今回、先に手をひきよったんとちゃうか?」

「確かに、先に手を引きましたね・・・。」

「やっぱな。今日あの女と会う約束があったらしいねん。

しかし、依頼人の仕事で今回を逃したら京にとられるやろ?

だから行動をいちよう起こしたって感じや。

本当やったらお前が狙うと言う時点で相手は手を引くからな。

あと、言っておくが、その依頼人、消されたわ。」

何かを企む女、大宮鈴霞と繋がっているといわれている仕事人、闇野神鬼の二人の存在。

大宮は最近になって現れて、魅琴の行方をくらましていた姉だとわかった。

顔が変わっていないというのだから間違いはない。

だが、どうして顔は変わっていないにもかかわらず、名前を変えていたのか。

それと、どうして闇野のような危険な存在と繋がっているのか。

わからない事はまだまだたくさんある。

「気をつけや・・・?企んでいる事は、絶対に人のためやないだろうからな。

京達に手を出さないといっても、それは何か理由があるからやさかい・・・。」

「わかってしますよ。いつも忠告をありがとうございます、我親愛なる神前竜都殿。」

そう言うと、何わけのわからん事をいっとるんやと、照れ隠しでそっぽ向きながら言う。

「さ、今日は遅いですし、お手伝いの方にこれ以上迷惑をかけては可愛そうですからお帰りになったらどうですか?

マスターロン?」

こうして、今日も夜はふけていく。

 

その間にも、何かが動いていく。

運命の輪を狂わし、舞台はそろっていく・・・。

 

 

 

 

 +++++ あとがき +++++

 

私の中ではこれで完結してもいい状態の、第一部の終了です。これで一区切り。

しかし、作っておきながら代名詞でしか出てこなかった人が約一名・・・というか、完全に存在自体なかったものが二つ。

なので、続きがあります。これ以上やると設定がややこしくなりそうではありますが。
またお付き合いいただければ、と思っています。