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怪盗の顔になった京は予告10分前に、すでに屋敷内にもぐりこんでいた。 京は予告時間どおり獲物を盗み取り、警察の包囲を抜け出して行った。 そんな時だった。 キュイン―――――――― 背後にある気配に気付き、よけた。だが、それは京の頬をかすり、赤い線を作ってしまった。 「お久しぶり・・・というべきなんですかね? 京は相手をにらむように見る。相手は別にそんなものは怖くないといたって平常。 「確かに、久しぶりだな。こっちも、あれが最後でもう二度と会うとは思っていなかったけどな。」 相手は相変わらず銃を京に向ける。京も先程から細いナイフを取り出して構えている。 「それで、今夜は何が仕事内容なんですか?」 「そんなもの、簡単に教えられるわけがないだろう? そう言葉を交わしている間に、銃弾が7発、ナイフは10本飛び交っていた。 「内容はどうにしよ、仕事のだいたいの内容が重なった・・・という事ですか?」 「今のこれだと、そう言うことになるんじゃねぇの?」 相手の銃をよけて、右手で地をついて素早くよけて体制を立て直す前に攻撃が来る前にナイフを投げて・・・。 数分の時間、その場所には銃弾とナイフが飛び交い、これ以上は下手にしても勝負がつかないと判断して二人は攻撃を同時に止めた。 「まったく、相変わらずですね。その腕がうらやましいですよ、闇鬼神さん。」 「あんたも相変わらずで俺はうれしいね。あんた程、なかなか俺の仕事をスムーズにいかせない奴は滅多にいないからな、京和。」 すでに、お互い元の位置に立って、話し合いの状態になっていた。 「私は、これを予告した通り、もとの持ち主へと返さなければいけません。 「かといっても、俺もそのあんたが取ってきたものに用事があるんでな。引けないんだよ。」 闇鬼神と言われる相手はそう答えた。そして、続けて言って、どうやら、これのいわくの話で依頼主が持ってきてほしいと頼んだらしい。 「いわくの話・・・ですか・・・。」 「俺は別に、そんなものに興味はないけどな。で、俺はそれを持ち出して、届けないといけない。」 「しかし、私も、これを届けないといけない。」 お互い、口元に笑みを浮かべて、決裂と言い、再び戦闘態勢に入った。 闇鬼神は月の光を反射して輝きを放つ銀の銃を取り出し、京は右手に扇子、左手には4本の細身ナイフを取り出し、お互い構え、まるで合図があったかのように同時に一歩足を踏み出して攻撃を仕掛けた。 暗い闇夜を照らす月が二人を見守っていた。 なぜならば、この男は暗殺も手がける仕事人だからだった。 真名もわかっている。闇野 神鬼。闇の野に立つ、鬼神と、そのままの意味を仕事人の名前で名乗っているのだ。 闇野は銀の銃を撃つ。容赦なく雨のように弾丸をその場所に放つ。 「まったく、穴だらけにするつもりですか?」 「建物をではなく、あんたをだけどな。腕が鈍ったらしく、なかなか当たらないがな。」 と、言ってのける。余裕というものが彼にはあるのだ。 それに、彼が持つこの銃も問題があった。自分が持つこの扇子同様に、通常考えられない現象を起こす事が出来るのだ。 闇野の持つ銃は、電気が流れるように、真っ直ぐ目標にいかず、雷のように空気の抵抗で少し屈折しながら目標の場所へといく。 そして、京が使用する扇子は、同じように自然界の力を利用するもの。 そんな二人が、お互い自然界のエネルギーを利用して攻防を続ける。 ザァァァ―――――――― 風が京と闇野の長い服の裾をなびかせる。 「・・・一瞬が命取り、まさにその通りというものだ。」 京は闇野の背後に回り、身長差をフェンスに上ることでなくし、闇野の身長にあわせてかがんで、喉元に扇子を突きつける。 「・・・今回は、あんたの勝ちって事にしておいてやろう、京和。」 「それはうれしいですね。貴方がそんなに簡単に負けを認めるなんてね・・・。」 確かに、数回とはいえ、彼のこの諦めのよさには可笑しく思える点がある。 「ふっ・・・信用ねぇなぁ。しょーがねーけどよ。 少し納得できない部分もあったが、まぁいい。これ以上邪魔しないというのならば、それに越した事はない。 「それに、今日は先約があってな・・・。時間なんだわ・・・。」 それが、一番の理由らしい。信頼第一のこの仕事を放棄してまでの約束。 「じゃーな、怪盗京和殿。次は容赦しないからな。」 そう言い捨てて、闇野は闇夜の中に姿を消した。 「・・・私も容赦しませんよ。 京も獲物を確認して、待っている二人の元へ急いで帰った。 |