ここは、世界中の生き物の夢を管理する管理局、ドリーム・カンパニー


  ここでは、毎日夢の処理などに追われる社員達がいる。


  だが、夢の中は全てが安全ではない。


  夢魔という魔物が夢を荒らし、精気を吸い取る事がある。


  これでは、管理をするにあたって仕事が出来ない。


  その問題を解決する特殊部隊がここに設置されている。




  それは、 ゛ ドリーム・キーパー “




  夢の管理を影から支える夢の番人達。だが、知っている者は、本部の一部だけ。











指令 ドリーム・キーパー様と、紙が届けられた。


「うわ、また指令だってさ。」

「とにかく、早く他の三人も呼びましょう。任務はきちんと果さないとマスターに叱られちゃいますからね。」

と、ニ人の話し声。指令の紙を渡されたドリーム・キーパーのメンバーの少女。

「なんでこう、ここは問題だらけなんだろうね。ヤになるよ。」

と、少女が隣で一緒に歩いている少女に少しあたりながら言う。少女の名前はキサ。

「でも、しょうがないのよ。ここは、そういう場所。それに、私達はその処理の任務を行うために集められた者なのだから。文句言っても仕方がないわよ。」

と、キサの隣で冷たく返す少女。名前はルウイ。このニ人は見た目からも中身も正反対と言える。しかし、結構仲はいい。

「あら、イオンだわ。」

と、前からやって来る人影に気付いたルウイ。キサはどこどこと探す。イオンとは、キサとルウイと同じ任務を遂行するメンバーの一人。

「あ、本当だ。イオンちゃん。また指令が出たよ〜!」

と、助走をつけて抱きつく。だが、これは相手からすると体当たり。また今日も、ごめんごめん、勢いがつきすぎた。などと言いながら立ち上がる。イオンはキサの下敷きになる。これが、毎回会うたびに起こるイオンにとっての不幸。

「それより、ちゃん付けはやめて下さい。」

と、服についたほこりを落としながら立ち上がって言う。キサはかわいいからいいじゃん。と笑って返事を返す。

しかし、イオン、彼は、男なのでやはりちゃん付けとかわいいといわれるのは抵抗がある。見た目は確かにかわいいので、よく周りから言われている本人は結構気にしていたりする。

 「はいどうぞ。良かったですね、今回も割れていませんよ。」

と、嫌みのようにルウイがイオンに眼鏡を渡す。今回もと言う事でわかると思うがなぜか、毎回割れていないのだ。だが、過去一回、落ちるだけでは割れなかったのだが、キサが踏んで割れたことはあった。

 この任務を初めてやる時、初めて顔を合わせたメンバー。最初はお互い様子をうかがいながらなのだが、キサだけは最初から今までかわらず自分のペースだ。これが結構救いとなる事もあるが、普段ではこうやられていては身が持たない。

「ごめんごめん。それよりさ、指令入ってるからキーパストに渡さないとね。」

と、紙で顔を隠すような感じでイオンに見せながら言う。

 キーパストとは、ドリーム・キーパーのリーダーの事。メンバーの中では最年長。そんなメンバーの平均年齢は約十四歳だ。まさか、ドリーム・カンパニーで働く社員達もキーパーがこんな子供だとは知らない。上部の本部のみが知っている事実。だから、普段廊下を歩いていたりしてもばれていない。本部の人間が言うには、ばれた時点で切ると言う。

だから、子供でばれないと思っていてもやはり少しは気を使ったりする。五人とも、行く場所などないのだから。

 キサ、ルウイ、イオンの3人は5人が住んでいる寮の客室に向う。さっき、連絡したから他のニ人も必ず来る。寮の客室、ここには、めったに客は来ない。来るのは、指令を持ってくる本部に仕える信頼の置ける秘書ぐらい。第一に、この寮自体、五人以外は誰もいない。

だから、少々声が大きくても外にもれる事は無い。

「遅いよ!」

と、扉を開けて入るなり文句を言われる。これを言った少年は、一番最年少のクレシス。三人の中で一番やんちゃな男の子。レベルはキサあたり。そして、その奥のイスに腕を組んで腰掛けているのはキーパストのライシュ。

「呼び出しの割には遅いぞ、キサ。今回の指令はなんだ?」

と、もう仕事を始めるようだ。相変わらず無愛想なライシュだ。しかも、上から下まで真っ黒。瞳も眼鏡をかけて見にくいが真っ黒だ。完全真黒男。しかし、肌は白かったりする。格好良い、に入るぐらいなのに、これでは駄目だ。と言うのが、キサのライシュに最初に言う口癖となっていた。



 " 指令、カンパニーの北にある泉を汚し、夢を汚す夢魔を清めよ。 ”



これが、今回の指令内容だ。

「北の泉って夢を記憶させて再び続きを心から望むものに続きを見せる鏡じゃん。しかも、また夢魔だし。」

「そうだ。だからこっちに指令として出してきたんだろう。あっちは結構他に仕事が山済みらしいからな。なんでも厄介事はこっちへ回す。」

 と、ライシュが嫌みのように言う。それもそうだ。五人とも、帰る場所がなくここの最高責任者であるマスターに拾われている身なのだ。だから、こう言った面倒な任務もやらなければいけない。夢魔関係はたいていこっちへと回ってくる。それも、カンパニーで手におえない物ばかり。

 この五人は、カンパニーの中では一番最年少組に当たるだろう。だが、この任務は彼らでしか出来ない。それは、彼らには特殊能力と言う物があるからだ。この、特殊能力により、帰る場所が無くなったのだ。

だが、そんな彼らをここのマスターはこの特殊能力と言う事でやとったのだ。子供でも夢魔をどうにかしてくれればいい。と言う考えだろうと最初は誰もが思った。だが、この仕事に就きだしてわかった事が一つだけある。



  “ 誰もが夢を見、そして、希望と勇気を持って未来を切り開く。

    努力の積み重ねから、新しい何かを得るだろう。

    生命ある物、どんな物でも一人では生きてはいけない。

    支えあえる、仲間がいて初めて自分は前へ進める。     ゛



が、ここに昔から伝わる言葉。ここのマスターはこの言葉が一番好きだと言う。自分達を連れてきたのは、哀れみや利用ではない。ただ、生きる事を放棄していた自分達に、前へ進むきっかけを作ってあげようと思っただけだ。と、最初の任務が終わった時にそう言われた。

その時初めて、マスターの気持ちを知った気がする。自分達の事を本当にわかってくれるのではないかと五人ともが思ったのだ。

 ライシュもこれはわかっているが、最近指令が多く、忙しいためちょっと当たっているのだ。他のメンバーもマスターの事は信頼しているし、何より今、自分がいるのは彼のおかげでもあるからだ。だから、少々難題な指令も今までちゃんとこなしてきた。

だが、今は昨日やっと終わった指令のせいで疲労が見てわかる。元気なキサとクレシスでさえも疲れがわかるぐらいだ。

「とりあえず、見に行きますか?」

と、ルウイは言ってみる。確かに、今はどうなっているのかを見るのも一つの手だ。ライシュはキサとクレシスに行くように命令を出す。ルウイには夢魔の種別の特定する為、図書室へ調べるように命令した後、イオンは自分と一緒に上からいろいろ聞くと言う仕事。

 この任務で、一番初めにしなければいけないのは、夢魔の種別の特定とその場所の状況を知る事。夢魔でも、夢を汚す物を全てまとめて呼ぶので、悪魔や魔物も全てこの中に含まれる。はっきりと、相手がどんなのか知らなくては手の出しようがない。

それに、場所の状況によっては決行日を変えたり、被害が出ないように対処したりしなくてはならない。結構慎重にいかなくてはいけないのだ。
 


 指令に従って、ライシュが出した命令で泉まで来たキサとクレシスの二人。

「今は、いたって普通にみえるよな。」

「そうだよねぇ?本当に夢魔がこんなとこに来るんだろうか?」

と、嘘じゃないかと疑う。だが、こう立っているだけではライシュに怒られる。面倒だが、任務を遂行する事にした。キサとクレシス、二人とも能力を使ってだ。

 そもそも、この能力を使うにあたっては、結構精神的にも体力的にもかなりの浪費を覚悟しなくてはいけない。しかも、最近任務が立て続けに続き、かなり能力を使った。

 キサの特殊能力。生命ある物全ての心や、しまいこんだ記憶や過去と少し先の未来を感じ取ることができる。

 クレシスの特殊能力。全ての空間において、どんな物も通さない結界を創る事ができる。

 特に、クレシスの能力は、自分のみを守るだけではなく、敵を閉じ込める事もできるので、任務で捕らえる夢魔も結界内に閉じ込めてカンパニーへと連れて行く。

これのおかげで、結構後は楽だったりする。だが、その後の力の消費がひどいのは問題点として残っているのだ。しかも、過去一回。無理に任務をしたために能力を制御できなくて問題を起こしたことがあるのだ。

 「クレシス、これ見て。」

と、キサが何かを見つけた様子だ。クレシスは急いで駆け寄る。そして、キサの指差す先を見る。そこにあった物は、黒くなんだか焦げたような臭いの放つ草。この辺は、湖の周りなのでたくさんの草木や花々が生えている。人工的ではなく、自然が創りだした場所。

確か一週間前に調査されているはずで、その時はこんな物は報告されていない。第一に、ここからとても薄れているが気を感じる。邪悪で人の夢を汚す夢魔の気を。

「とにかく、ここは神聖なる場所なのに夢魔が入り込んでいるのは事実のようだわ。普通なら入れないはずなのに・・・。」

そう、この場所は夢魔など邪悪なる気を持つ者は通る事の出来ない結界が張られているはずなのだ。だが、現に進入している夢魔がいる事がわかった。

 二人は、他に何か無いか泉の周りを念入りに調べる。ここに入って来る物がいる事だけがわかっても、いつ、どんな時に現れるかも手がかりがないかと調べる。だが、これと言ってあの跡以外は不審な点は無かった。

「しょうがない。あれを使ってみますか。」

と、少し大きく息を吸って気を高めて、ゆっくりと静める。精神統一をし、能力を発揮しやすいように気を集中させるのだ。

「いつもどうりでいいよな?」

と、クレシスが言う問いに頷く。能力を発動中に邪魔をされないように、結界を張るのだ。これで、キサは能力の発動中に周りを気にする事がない為、こっちに集中する事が出来る。



    “ ボレス ”



 これが、キサの生命ある物から普通は聞こえない、わからない声を聞くことが出来る呪文だ。この夢の世界での意味では、聴くと言う意味だにあたる。

 キサは、この間は腰をおろし、ずっと地に手を付いて、ほんわりとした光に包まれている。いつ見ても不思議な光景だ。クレシスは結界を張り、後ろからいつも見守っている為、いつもそう思う。普段はあんなのでも、今はとても別人に見える。こうしていたら、結構かわいく見えたりする。

 しばらくして、キサは今まで閉じていた目を開け、立ち上がった。どうやら、思う存分、聴きたい事は全部聴いたようだ。

「どうやら、相手は結構強いみたいだよ。」

と、クレシスが聞く前に答えた。結構強いと言う事は、今体力の回復がよくない自分達では少し不利な所が出てくる。

「レベルは予想ではどれくらい?」

「たぶん、Cクラス級ぐらいかな?」

と、答える。Cクラス級と言うのは、相手の能力レベルの事。ここでは、レベルが十段階で現されている。Cと言う事は、上から四番目。結構レベル的にはそこそこ強いレベル。

「今のこっちの状態から言うと少しきついな・・・。」

「確かにね。あの任務で、かなり能力つかっちゃったし。」

「だが、ほっておくともっと駄目だろう?さっさとすませてしまおうぜ。」

「そうだよね。そして、その後は、お疲れ様パーティしよう。」

と、なんだか楽しく会話が進む。やはり、中身のレベルが低く似た者同士だけあって、意気投合しやすいようだ。

 二人は、だいたいわかった事をライシュに報告する為に一度部屋へ戻る事にした。その頃の、ライシュとイオンはと言うと、本部のあるS舎の応接室にいた。マスターからの熱い信頼を受けている秘書のレストの話を聞いていたのだ。

「では、何らかの拍子にあの場所にある結界の一部に穴があき、夢魔が進入したと言うわけ
ですか。しかし、そんなミスが出るなど、めずらしいですね。」

と、少し嫌みのようにしてだされた紅茶をすすりながら言うライシュ。隣で座っているイオンは渡された調査書や報告書に目を通している。

ライシュとイオンは一回覚えた物はよほどの事が無い限り、忘れないのだ。だから、たいていこういった書類などに目を通すのは二人だけだ。

ルウイも目を通す事があるが、あのキサとクレシスの二人はすぐに忘れてしまう。読ませるだけ時間の無駄なのだ。ライシュは自分だけが目を通しておくだけでもいいのだが、もしもの時や、別行動したキサに一緒に行くようにさせるためにイオンにも一通り読ましておくのだ。

 この報告書と調査書。なぜか不信な点が多い。

「絶対、何かありますね。」

と、部屋を出た後、おかしいと言う事に気付き、小さな声で話す二人。

「それが、偽りだと言う確証も無い。だいいちに偽りを書いて残すのもおかしい。まだ今は気にしなくていい。ただ、あの二人が先走らないといいのだが・・・。」

と、キサとクラシスの事を心配していた。イオンも同意見だ。今までがそうであった為、どうしても気にかかる。

「はっきりとわかるまで、これは言わない事にして置いた方がいいのでしょうか。でも、それではあの婦達が後でうるさいですよ。どうします、リーダー。」

と、イオンは真剣に考えて言うが、ライシュは別に気にしていない。大丈夫だ、これは全て話す。考えているこの書類の中で思う推理もな。と、ひそかに笑みをこぼしながら言う。めったに笑みを浮かべる事の無くガードの固いライシュ。絶対に何かたくらんでいる。とイオンは悟った。

 


 時計の針が十二時を指し、中央の舎塔の金が鳴り響く。

「ルウイー、あ、いたいた。早く昼御飯食べよ。」

と、キサはルウイの部屋の扉を勢いよく開けて入ってくる。ルウイはたくさん部屋へ持ち帰った、本や資料の必要な物だけを見極めて整理をしていた所だった。

「キサ・・・。私はまだもう少し整理をしないといけないから、今日は他の誰かと一緒に先に食べて。」

と、速攻で断られた。しかも、まるで自分は仕事をさぼって私はまだ仕事中のような言い方。だが、かまわず腕をひっぱってイスから無理やり立たせて扉を開けたまま走り出した。

「ルウイも一緒じゃなきゃいやだもん。」

と言って、さらに勢いをつけて向かった先はライシュの部屋。

「ライシュー。」

と、こちらでも勢いよく扉を開けた。ライシュはまたそうぞうしく人の部屋に入ってきて・・・。などとぶつぶつ言っている。せっかくの顔がまたいがんでるよ?と、キサは笑いながら言う。

「大きなお世話だ。」

と、いつもの返事が返ってくる。いつも、のりが悪い。と、キサはぶうっとふくれる。だが、ま、いっか。など考えて。綺麗に整頓されたリビングへとルウイをひっぱって連れて行く。

「わぁ、今日はスパゲッティだぁ。いただきまーす。」

と、うれしそうに食べる。おいしいー。と、幸せモード。ルウイも隣で一緒に食べている。本当においしいのだ。だが、これを作ったのは誰かと聞くとすごく笑えるだろう。あのいつも不機嫌そうにガードの固いライシュが作っているのだから。

 ライシュはいつも一人でこうやって静かに食べていたのだが、ある日、いきなり入って来たキサにグラタンを作っているのを目撃された。顔の表情は変わらないが、結構動揺していただろう。しかも、それを見るなり、

「うわ、ライシュがグラタン?しかも手作り!おいしおうだけど、ライシュが本当に作ったの・・・?」

と、キサは笑いながら言ったのだ。今まで想像つかなかった光景だったのだから。そして、その日からライシュの部屋に来て御飯を食べるのが日課となった。

「食べる時ぐらい黙って食え。」

と、ライシュが言うが、そんな硬い事言わないの。と、肩をパンパンたたきながらその後もしゃべりながらどんどん食べていく。ライシュも別に来るのはいいのだが、騒いで帰られるのは困るのだ。だが、

「やっぱ、ライシュの料理は美味いね。」

と、笑顔で食べる物だから、結構うれしかったりするのだ。確かに、さわがしいが、一人で食べるより何人かで食べる方がおいしいのだ。

「ごちそうさまでした。さ、早速任務にあたって作戦立てましょ。」


と、いつのまにかたくさん盛ってあったスパゲッティをたいらげて言う。その顔は普段の顔と違い任務を遂行する時の顔つきだ。しかも、精神統一をして能力を使う時のような普段と違う雰囲気だ。