時刻は十時。

ルウイとキサ以外の三人は秘密部屋に来ていた。第一に、秘密部屋とはクレシスがつけた部屋の名前。マスターとメンバーの五人以外は誰も知らない場所なのでそうつけたのだ。秘密部屋はライシュが話し合いをするにあたって他の者や夢魔などに聞かれないように音が外に出ないように。そして、いろいろな調べ物や作業が出来るようにと作った核し部屋の事。

しかし、クレシスはそれを秘密基地のように楽しんでいる。だから、秘密部屋と名付けたのだ。

「やっぱり、ここに来るとなんか楽しいよね。」

と、今日も喜んでいる。彼はよく感情が顔に出る。

「それより、キサとルウイを呼びに行かなくてもいいのですか、ライシュ。」

「いや、いい。あっちはあっちで問題があるようだからな。こっちは先に話を進めておいて後で話せばいい。」

と言う。彼にしては珍しいと思った。これは、サボりを認めるような物だからだ。だが、深くは追求しない事にした。ライシュなりになにか考えがあるのだろうと思ったからだ。

 三人は、話を進めていく中であの少女の事についてわかったことがあった。関係ない資料を棚に直しに行こうとしてばらまいてしまったクレシス。それを拾うライシュとイオンだったのだが、一つの資料にあることが書かれていたのだ。

それは、五年程前のある少女の夢の内容を記録しtものだ。関係ないとしまおうとしていたのだが、そこから出てきた資料からあの少女の素性がわかったのだ。

「予想ははずれだな。」

と、ライシュが一言。イオンは興味深げにどんな予想を立てていたのですか?と、尋ねてみた。返事は返ってこないと思ったが返ってきた。

「夢迷魂かと思っていたんだ。だが、あの子はもう生命の火が消えている。死者の魂とは少し厄介かもしれないな。それに、Cクラス級とキサが言ってたしな。」

と、資料を束ねながら言う。実は、イオンも夢迷魂だと思っていた。死者にしては穏やかでまだ生きているように見えた。だが、実際は生きていると言う気配は感じられなかったのだが、夢迷魂でもたまにあるのでそこまで深くは気にしていなかった。

 夢迷魂とは、事故やなんらかのショックにより、現実の世界に戻れなくなり、夢を見てそこから出られなくなった迷子の事。死者の魂は、夢を見たまま死んだ者が来る事が多い。そして、次第に自分は何でここにいるのか、どうしてここにいないといけないのかなどがわからなくなり、中には夢魔になる者もいる。

「ほっておくと危ないな。イオン、あの子はいつからここに来ているか調べられるか。あとは、何の目的であの泉に来ているかを調べられるか。」

「やれるだけやってみます。ですが、ルウイに聞いた方が速いと思いますよ。彼女は、たぶんもうすでに見ていると思います。まだ見ていないと鳴ると口止めされているかもしれませんけどね。聞いてみるだけ聞いてみたらどうです。」

と、言うが、ライシュは返事を返さない。ま、無理は良くないですから。と言って部屋を出て行こうとしたとき、クレシスが聞いてくる、と言って走って部屋を出て行った。

「もう、彼は元気ですね。若いっていいですね。」

「何を言っている。お前もまだ若いだろう。」

「でも、中身はもう危ないですよ。」

「確かに、あれだけ神経張り巡らせていたら精神的に負担が大きいからな。」

と、話している。二人とも言うほどクレシスとは離れていない。まだ十代の人間がこんな事を言っているとなると、ここの社員達はいったいどうなんだろうか。

 二人でずっとここにいてもしょうがないので、部屋に戻る事にした。途中、気になってルウイの部屋に寄ってみた。夢の事は言っていないようだが、ルウイの顔には笑顔があった。

「もう、ルウイは言いたくないって言ってるじゃん。第一にあんたなんかに聞く権利なんかないね。」

「うるさい、お前は黙ってろ。」

「何よ、一番チビの癖にー。」

「なんだよ、お前だって年上の癖にチビー。」

と、言い合いをしているキサとクレシスの姿があったのだ。さすがに、こんなのを目の前にしては笑ってしまうだろう。どっちもどっちで低レベルな言い争い。

「キサ、クレシス。いつまでばかをやっているつもりですか。」

と、イオンはしょうがなく止めに入る。二人はだってこいつが、とお互い指を指して同時に言う。綺麗にはもっていた。

「どこまでもばかやってないで、話を聞け。今晩、昨日と同じ時刻に泉に集合。遅れるな。その時に、あの少女も捕獲する。」

と言って部屋を出て行った。イオンも後に続いて出て行った。捕獲など言っていなかったのに急に決定したのに不信を持ったからだ。

「なんか、ライシュご機嫌ななめ?」

と、出て行った後の開いたままの扉を見つめながら言うキサ。

「捕獲ってどうするんだろう。やっぱ、俺が結界創るのか。」

と、言う。それ以外なら一体何がある。とキサとクレシスは二人で考えていた。その時、またルウイは難しい顔をしていた。

 廊下を歩いていく二人。

「急にどうしたんですか、ライシュ。今回は他のメンバーの意見を聞いてないでしょう。」

と、言われる。だが、返事は返ってこない。

「まぁ、最終的にキーパストの指示が絶対ですから問題ないかもしれませんね。特に、あの二人には意見を聞いても進みませんから。」

と、言う。だが、やはりライシュは答えなかった。ただ、長い廊下を歩いているだけだ。

イオンには、ライシュがどこに向かっているかわかっていた。いつも、行く場所は決まっているのだ。その場所とは、天空宮と言われる、管理局の敷地内にある大きなドームの形をした建物だ。

その中は、天井がガラスなので明るく、色のついているガラスが反射してとても綺麗なのだ。

 ライシュは毎日ここに来ている。ここが一番落ち着くのだろう。ここは、教会の中のようにイスが並んでいる。一番はしにライシュは座った。

「付き合います。」

と言って、イオンも隣に座った。ライシュがしようとしていた事は、祈る事。今回の任務も無事に終える事が出来るようにと。

ライシュなりに他のメンバー達の事を考えての行動だろう。キサが知ったら驚くだろうな。と、イオンは思った。

自分でも、ライシュがこんな事をしているなど、少し前まで知らなかったのだ。だが、ここに来てからずっとしていると言っていた。それは、すごいとイオンは思った。

 十分ほど目を瞑り、祈りを捧げる。今、この場所にはライシュとイオンのみ。辺りはとても静かだ。天井のガラスから差し込む色とりどりの暖かい光がとても気持ちがいい。

「イオン、そろそろ戻る。」

と、立ち上がって言うライシュ。イオンも続いて立ち上がりその場を後にする。





 その頃のキサ、ルウイ、クレシスの三人。なんと、ルウイは話をしだしたのだ。

実は、キサが部屋を出て行った後、また眠ったルウイはあの少女の過去と未来を見ていたのだった。その後にあわただしく戻ってきて起したのだが。戻ってきたのは、ライシュに話を聞いてもらい、どうしてもルウイの顔が見たくなって走ってきたのだ。

「あの少女は、生まれた時から原因不明の病気に悩まされていたの。ずっと、入院したままで友達がいなかったらしいの。そして、ある日夢を見たの。それは、誰かが自分の名前を呼んでくれていたの。そして、一人なら一緒に遊ぼうと言って誘ったの。」

と、話していく。少女の年は、8歳。五年前に眠ったまま死去。その後、その夢が覚めて次の日、眠ってそのままだと言う。これを聞いて、キサもクレシスも言葉が無い。

「あの子は、夢の中で迷子になった。だけど、ここだといろんな人と会う事も出来るし、なにより体の不自由がない。一回、見舞いに来てくれた隣の家の同い年の幼なじみの子が、かごめかごめって言う遊びをした事を話したんだそうよ。それを聞いて、早く退院するから一緒にそれで遊ぼうと約束したそうなの。だけど、幼なじみはそれ以後来なかったの。その子は毎日待ったの。だけど来なかったの。後で、親が話しているのを聞いたそうなの。実は、自分の見舞いに来る時に事故に遭って死んだ。と、言っているのを聞いたのよ。」

と言う。キサもクレシスもおとなしく聞いている。

「その子は、自分のせいだと責めた。そして、食べる事も寝ることも拒絶した。人と接触する事も生きる事も全部。」

それを聞いて、キサとクレシスは言葉をなくす。こういった状況ではなかったが、生きる事全てを拒絶すると言うのは、前の自分と同じだったからだ。

「その子は、あの泉の真中に立っていつも月に向かって祈りを捧げているの。幼なじみのたった一人の友人ともう一度合わせて下さい、とね。今も、ここへまだ迷っている。そして、幻覚の子供達と一緒にかごめで遊んでいるの。あの子がCクラス級なのは、その願いの強さだと思うの。あの子は願いが叶うまであそこをさまようわ。それを邪魔するならば、殺してもかまわないと言う勢いよ。」

と、話し終える。キサの瞳からは涙が流れる。その子に同情しているわけではない。ただ、今自分がこうしていられるのは幸せだと思い、その子にもちゃんと幸せになってほしいと思っていたら自然と涙が出てきたのだ。

「ほら、目がはれますよ。」

と、ポケットからハンカチを出してキサの瞳から零れ落ちる涙を拭く。そしたら、キサはルウイの体に抱きついて泣き出した。

「・・・・・。」

ルウイは一瞬と惑った。いったいどうしたらいいのかと。クレシスもキサの泣いたとこを見た事も無いので、どういう言えばいいのかわからなかった。

「・・・イ、ルウイ・・・・・。」

と、抱きついたまま、泣いたまま言う。ルウイは、優しく頭をなでた。

「キサ、泣かないで。お願い、私も悲しくなる・・・。」

「そ、そうだぞ。キサ、お前に泣いてる姿なんかおかしいぞ。」

と、二人なりの必死の励まし。今日は泣いてばかりだ。

 さっきまで、キサの鳴いている声が響いていた部屋だったが、今はしんと静まりかえっている。今日も、夜中に泉へ行くので今の内に早いが寝て御飯を食べるようにとクレシスを迎えに来たイオン。部屋に入ってきてこちらは大丈夫ですね。と思った。三人とも、ソファの上で寝ている。小さな子供がお泊まり会のようにくっついて寝ている。

「寝るのはいいですが、起きるのは大丈夫でしょうか・・・。」

と、仕事が出来てしまった。起さなければ、三人とも朝まで寝ているだろう。





 時刻は十一時。三人を起こしに来たイオン。案の定、三人ともまだ夢の中だ。

「キサ、ルウイ、クレシス。時間です。起きて下さい。」

と、体をゆすって起すが、なかなか起きない。

「キサ、クレシス。早く起きて支度して下さい。」

と、さっきより大きな声で怒鳴った。だが、起きたのはルウイだけ。ルウイは夢見の場合、起さない方がいいと思ったのだが、怒鳴って反対に起してしまった。

「もう、そんな時間・・・。とりあえず、遅い晩ご飯を食べないと・・・。キサ、キサ。ねぇ、キサ。クレシス、あなたも起きる時間ですよ。」

と、起す。イオンだと怒鳴っても起きなかった二人だが、小さい声なのにルウイだと起きる二人。イオンは、二度と起さない。と決めた。

「ふにゃ?あれ、ルウイ。おはよう。って、まだ朝じゃないじゃん。」

と、寝ぼけている。キサもクレシスもまだ眠い瞳をこすっている。やはり、中身がお子様だからだろうか。起きてもまだ夢の中状態の様子。

「後、四十分後に泉に集合よ。私達はまだ晩ご飯を食べていないわ。速く食べましょう。クレシス、あなたも食べるでしょう?」

と、言って立ち上がった。そして、置くからサンドウィッチを持ってきた。

「食べましょ。イオン、あなたもどう。」

と、イオンにもと言ってみるが、それよりさきに声が耳に入る。

「わーい、食べる〜。」

「もう、腹減ったよ〜。」

と、すばやく言う二人。ルウイはクスッと笑みをこぼした。

「はい、イオンの分です。どうぞ。」

と、サンドウィッチ二つほどをお皿に乗せて渡す。よけておかなければ、この二人が全部食べてしまうだろう。渡されたイオンは、断るのもあれなので食べる事にした。

 食べたりしていて、もう二十分もたっていた。

「今日は、速めに行かないとライシュが怒るかもしれないわね。朝の十時からの話し合いに参加しなかったのですもの。」

と言う。それを聞いて、あ、忘れてた。と言うキサ。やはり、覚えていなかったようだ。だが、すぐにま、いっか。と言って最後の一つを口にした。

「じゃ、かわりに今晩頑張るからそれで許してもらおう。」

と言って立ち上がった。さきほど口に入れたサンドウィッチはもうないようだ。

 泉についた時刻は、急いで行ったので四十分には間に合った。





 今晩、あの少女は何かをする。夢の中で何かをしていたのだ。それをルウイがライシュに言うと、そうか、わかった。とだけ答えて後は何も言わなかった。

「今晩でこの仕事を終わらせるよ。」

と、キサは言った。今晩で何もかもが終わる。

 今、十二時の鐘が鳴り響く。昨日のように少女が現れ泉の真中に立つ。そして、月の光を吸収しているのか、それとも、泉自身が光を放出しているのか・・・。



    “ クル・ヘキト ”



クレシスが使う呪文の一つ。辺りを結界で包み込んだ。周りに危害が加わらないように、結界を張っておくのだ。

「イオン、行けるか。」

「わかってます。大丈夫です。」

と言って、その場から姿を消したイオン。一瞬のうちにあの少女の背後にいる。

「さっすが、イオンちゃん少女捕獲。」

と、少し楽しんでいるように言うキサ。そして、その場からまた消え、この場所に少女と共に戻って来た。

『ルウイ、約束破ったな。』

と言う。だが、別に破っていない、と答えた。確かに、手を出すなと言われているが、実際には出していない。

『邪魔をするな。祈らないと・・・。』

と、半分泣きながら言う少女。まるで、迷子になった子供のようだ。確かに、迷子といえば迷子だ。大切な友人と離れてしまって探しているのだから。

 その後、北西の方角から黒い闇がやって来た。それを見た少女は脅えている。

「どうやら、あれがあの大木が言っていた奴か。」

と、ライシュが言う。確かに、魔力は結構強いようだ。

「イオン、この子の事を頼む。攻撃してきたらきっとよけられないだろう。ただの人間の子供なんだからな。」

「わかりました。」

と、イオンはこの少女の守りをしなくてはいけなくなった。

「キサ、クレシス。行けるな。」

「大丈夫だよ。」

「問題無し。」

と、二人の答えが返ってくる。それを聞いて行くぞ、と指示を出した。

 五人が、特殊能力者と言われる理由。彼等は、普通の能力者と違い、複数の能力を持ち合わせているのだ。一つならば、ただの能力者。複数ならば、特殊能力者。

「イオン、ルウイの事も頼んだよ。今はゆっくり休んでおいてもらわないと後が困るでしょう。それに、あれは疲れるからね。」

と言って、黒い闇に向かって走って行った。イオンは、さらにお守りの人数が増えてしまった。

 黒い闇は彼らが話している間に形がわかるようになってきた。

「ガーゴルドか・・・。」

「うわ、でけー。踏まれたらぺしゃんこだな。」

「そんな事を言っている場合ではないだろう。」

「だってさ、うわ、いきなり攻撃してくんなよな。」

と、話している隙に攻撃してきた夢魔のガーゴル。それに、怒るクレシス。

「もう、なんなのこいつはー。」

と、ガーゴルに向かって言うキサ。ガーゴルとは、魔物の一種で、人間の綺麗な心を好む。だから、この泉へ来て夢をのぞき人間の子供の夢を食らっていたのだろう。

 三人は、最初は相手の力を見る為によけるだけだったが、それほど強くないと判断。どうやら、魔力が強くても頭を使っていないらしい。ばかだ、こいつ。とキサは言った。

「よし、今度はこっちからいかせてもらうよ。」

と言って、呪文を唱える体型に入る。



 “ エンシ ”



すると、キサの周りから火が渦を巻くように現れて、腕を伸ばし、手をガーゴルのほうに向けた瞬間。火はガーゴルに襲いかかった。

「う〜ん、いまいちだね。」

と言う。ライシュは、こいつが弱いのは水だ。と注意をする。だが、と付け足そうとしたが、なら俺がやってやる。とクレシスが呪文を唱える。



    “ スイ・コウレン ”



これは、水と風をミックスさせた攻撃魔術。風の渦を創り、その後にその風の気道にのせて水を加える。普通の水だけより威力は強い。

「おう、クレシスやる〜。でも、あっちもけっこうしぶといよ。」

と言う。確かに攻撃を受けて苦しそうだが、やはり魔力が高いからか、致命傷になるほどは、きいてはいないようだ。

「あ、ルウイー。」

と、叫ぶ。ガーゴルがルウイ達のいる場所に向かって攻撃をしたのだ。ルウイの言った通り、水の属性も少しは持っているようだ。ガーゴルにしては、珍しい属性を持っている。



     “ コウヘイト ”



と、イオンが呪文を唱えていた。すると、三人の前に光の壁が現れ、全ての攻撃を吸収したのだ。これを見て、キサはほっと息をつく。そして、ガーゴルの方を向き、ルウイに何すんのよー。と叫んで攻撃していった。クレシスも一緒になって攻撃する。

「おい、相手が火と水ならこっちは火と水で行っても駄目だろうが。」

と、注意された。こんな時にそんな事言ってられるかー。と言うキサだが、すぐに何が言いたいのかわかった。

「了解。」

と、キサとクレシスは同時に言ってガーゴルの動きをしばらくの間止められるようにするため、ライシュの援護にまわる。



    “ ライ・ソク・ケイ ”



と、呪文を唱えるライシュ。すると、一瞬のうちにガーゴルの動きが止まる。雷で創りだされた鎖で相手の動きを止めたのだ。


 その後、指示は無くてもイオンが動く。



    “ キョウハ ”



さきほど、攻撃吸収した光の壁から強い光が放たれ、ガーゴルを包み込む。

 光が消えたときには、ガーゴルの姿は無かった。

「任務完了だね。ちゃんと、浄化できたんだよね。」

「たぶんな・・・。さてと、もう一つの問題もどうにかしますか。」

と言う。ガーゴルはイオンの使った攻撃反射と清めによって浄化されたのだ。そして、もう一つの問題とは、少女の事である。

「う〜ん、完全に脅えちゃってるよ。どうするの。」

と、キサは髪をくしゃくしゃとしながら言う。あのガーゴルも恐ろしかっただろうが、自分達もそのガーゴルを倒すような人間なのだ。

「大丈夫だから・・・。」

と、ルウイは少女を自分の体に寄せて話し掛ける。お母さんのように暖かく抱く。

「大丈夫。もう、大丈夫だから・・・。」

と、言う。なんだか、キサは嬉しかったが、少し嫌だなとも思った。なんだか、ルウイをこの少女に取られてしまうようで、嬉しくなかった。

 その時、少女の瞳には一人の別の少女が映った。嘘ではないのかと、疑った。その少女こそ、自分が毎晩泉にお願いして捜していたあの大切な親友なのだから。

「あの子でしょ、呼んでおいたわ。」

と、ルウイ。あの時、夢の中でこの少女の事を知り、話し掛けて呼んだのだ。

『あ、水華ちゃん・・・。』

と、その少女の元へ行く。水華と呼ばれた少女もあえて嬉しそうだった。

「これで、全部問題無しだよね。」

と、キサは満足そうだった。さっきまで、ルウイをとられないかとすねていたのだが。

『お姉ちゃん、ありがとう。』