また、夢を見る。

あれから、何度見たかわからない。

そして、眼が覚めれば、やはり夢だったと思い、そして忘れて現実に戻る。

ただ、それの繰り返し。

 

そして、現実でも、夢と同じように誰かの血で真っ赤に染まる己の手のひらを見る。

 

 

 

 

あの夢を見た日は、目覚めが悪い。誰だって、あんな夢を見てすっきり起きれるはずがない。

いや、世界のどこかにはそういう奴もいるかもしれないが、俺はそういう趣味はない。

そして、あの夢を見た日に限って、仕事が入っている。

「あ、敦。カフェオレくれ。」

「挨拶すらなくそれか。」

言っても聞かないし、別にだからといって挨拶を求めているわけでもない。お互いこれぐらいの距離で保っている関係。

それにしても、言われて素直にカフェオレを用意する俺も馬鹿かもしれない。

「あのさ、今日は太郎の奴調子が悪くてさ。」

「仕事やめるとか言うんじゃないだろうな。」

首だけでこちらを振り返り、突然言い出す相方に、用意したカフェオレの入ったカップを差し出す。

「お、サンキュ。で、太郎の奴が・・・。」

「それはわかったから、続きから言え。」

「本当短気だな。」

「お前よりはましだ。」

「そうか?ま、いいや。で、仕方ないから二郎の奴つれていくことにした。」

そう言って、彼が太郎と呼んでいる愛銃と似ている銃を俺に見せた。

似ているといっても、まったく同じものなのだが、この男が改造しているため、まったく同じ物とは呼べないものになっているのはわかっているから、似ている銃と俺は呼んでいる。

そもそも、そんな太郎だとか二郎だとか名前で呼びたくない。何か、第三者がいたらおかしな誤解まねきそうだ。

「それで?」

「いつもとちょっとばかし使い勝手違うから、注意してねって言っておこうと思ってな。」

つまり、視界の真ん中に入るなということだろうか。味方を打つかもしれないとか、そういう危険な奴を一緒に連れて行くのは何だか嫌だ。仕事に影響出たらどうするつもりだ。

「でも、いつもとそこまで動きが変わるわけじゃねーから問題はないけどな。」

だが、彼が太郎と呼んでいる銃と扱いが代わるのは間違いないだろう。

彼と組む前は、太郎と二郎と呼ぶ二つの銃を使っていたと聞く。それが、俺と組む時にはすでに花子と呼んでいる別の銃に変わっていた。

その理由は生憎知らない。はっきり言えば、お互いあまりにも知らないことが多すぎる。だが、それでいいと思っている。

自分達が生きていく上で、相手を知ることはあまり必要ではないからだ。

そう、自分達が今いる場所は、いつ死ぬかわからない、今をただ生きているだけの仮初の場所。

「朝飯は仕事の後になるけどいいよな?」

「ああ。問題はない。」

「よっし、じゃー行くか。」

そして今日も、一之瀬隼人を相棒に、仕事へ向かう。

自分以外の誰かの命を奪う死神のような仕事へ。自分達の命を賭けて。

そして、あの夢と同じように、夢と同じ過去にあったあの日のように、この手は真っ赤に染まる。