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八章
夢の終わり
花火が終って、ほっとする九人。今日は、本当にいろいろな事があった。 麻美は役に当たって舞台に出て、そしたら照明が落ちそうで危ないから助けようとして。 そんないろんなことがいっぺんに起こって、この先退屈な生活を送る羽目になるのかと思った。 だけど、今日があって良かったと思う。 自分はあれだけ忘れないと自分にいいきかせたけど、結局忘れてしまったのだと思わされた。 麻美はフェンスにもたれかかって、空を見上げた。 「もし、願いを叶えてくれるのなら、ここで別れても、また紫音達と会わせて下さい。」 そういって、目を瞑った。 「あ、麻美さん!」 「麻美!」 「麻美お姉ちゃん!」 フェンスが傾いていく。 「麻美さん!」 何もない空間に投げ出されようとする麻美に、黒い猫が飛びつく。 「紫音!無茶です!」 だが紫音には聞こえていない。聞いている余裕がなかった。 誰もが、最悪を予想した。魅音は力を使うのが遅かったので、間に合わないと思った。 「麻美さん、紫音!」
フワッ―――――――――
七人の視界には白が広がった。暗いその空間に光があるかのように、白が広がった。 「し、紫音!」 「すごーい。」 七人の前に姿を見せたのは、知らない男だった。 麻美は、落ちたはずなのに、落ちないし、いつの間にか現れた知らない男に抱えられて、かなりパニックを起こしていた。 「はぁ、なんとか助かりましたね。」 男は麻美を下ろして、フェンスをおろした。 「し、紫音?どうしたんですか?確か、長い間戻らなかったせいで戻れないといっていたはずでは?」 「え?紫音なの?」 「嘘・・・。それこそ嘘だ・・・。」 「紫音さんが変わっちゃったの?」 「すごーい。」 兄二人は言葉なし。まさか、人の姿になるとは思っていなかったからだ。 「やっぱり、麻美さんは恩人さんですね。昔から。」 「無意識でも・・・ね。やっぱり、根本的な元はかわらないみたいね。」 「私達もかわらないのですから、いいんじゃないですか?」 「ったく、なんなんだよ。戻れるなら戻って現れろよ。俺はわからなくてかなり警戒したぞ。」 アンディベルも駆け寄ってくる。赤谷も一緒に。 紫音は、純白の翼をしまい、再び猫の姿に戻った。 「どうして、戻るんですか?」 「この方が、動きやすいんですよ。それに、ここではこれの方がいいですし。」 これが紫音の言い分。 自分にかけた呪いのような魔法が解けなくなっていたが、今はもう、完全に解けた。 「それに、私はこの姿も結構気に入ってますしね。」 そういって、魅音の肩に飛び乗った。 「下に戻りましょう。麻美さん達は友人方が探していらっしゃるかもしれませんよ?」 「あ、そうだ。」 「げ、片付けやってない。」 「大変だな、会長殿。」 九人は仲良く、魅音の魔法によって屋上から体育館へと姿を見せた。 麻美と和利と赤谷は友人たちのもとへ走り、片付けに行った。 「夢の終わりは皆で一緒が一番ですからね。」 「え、終わりなの?」 「何で終わりなの?もう会えないの?」 心配そうに見上げる二人に違うよと優しく答える。 「違いますよ。今日という夢の終わりを一緒に迎えましょうという事ですよ。」 「そっかぁ。」 「うん、一緒にね。」 数分たって、三人は戻ってきた。いなくなって、怒られたといいながら。 皆、可笑しくはないけど笑って、そして、夢の終わりを告げる。 「今日はこれでお別れですね。」 「また、会えるよね、紫音。」 「大丈夫ですよ。アンディベル・・・璃音に会いに来るように、私達は、友人に会いに来ますよ。」 そういって、姿を消した。 残った彼等は体育館を後にしようとして、ふと振り返った。 そこには、無いはずの木々とその間にある白いテーブルと、四つの椅子にそれぞれ腰掛けた四人の人影があった。
「あ、紫音!」 振り返ると、そこには魅音の姿があった。 「お茶の時間だよ。璃音も異音も待ってるよ。」 「ああ、そう言えば、時間ですね。」 「はやく行こうよ。」 手をつかんでひっぱる魅音。それに転ばないようについていく紫音。 「あ、やっと来たぜ。」 「遅いよ。せっかく、今回はクッキー頑張って作ったのに。」 「すみません。」 四人はそれぞれ自分の席に腰をかけて、手をあわせた。
『 今日も、四人一緒にいる時間を持てたことを、幸せに思います。 これからも、四人一緒でいられることを願う。 四人を出会わせてくれて、一緒にいられる時間を下さった事を、神に感謝します。 』
誰が見ても仲の良い四人。離れる事を知らない四人。 四人が一緒にいたら、何も怖くない。何もいらない。 四人が皆、この笑顔を失わなければ大丈夫。
今はもう遠い、楽しかった頃の思い出・・・。
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