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第五章
紫音と魅音の友人 いつもこの場所で、いつもの顔ぶれで、たわいもない話をして楽しんでいた。 平和という名の時間は、突如崩れる事を、そのときまで知らなかった。 そして、彼等はばらばらになった。 はなればなれになって、始めて、自分たちはお互いが大切で、離れられないほど長い時間、一緒にいることが当たり前になっていたのだと思わされた。 「ねぇ、もし私達がそれぞれ別の場所で時を過ごす事になったらどうする?」 「そりゃぁ、ばらばらになっても再会してまたこの時間を過ごすのさ。」 「私もそう思いますね。神が、私達の事を思って下さるのでしたら、きっと、会えるんでしょうね。」 「人でいう、運命って奴ですね。」 四人で話した事は、現実になった。四人ともばらばらになってしまった。 だけど、四人はまた会えるという運命というものを信じて、今を生きた。
気がつけば、知らない場所にいた。そんな感じ。 「困りましたね・・・。」 隣には眠っているあの少女がいる。どうやら、自分も連れてこられてしまったみたいだ。 「とにかく起こして・・・。」 少女を起こそうとした時、少女の隣で寝息を立てて眠っている犬を見つけた。 「え、まさか?!」 紫音は信じられないという感じで、犬のそばに駆け寄って、犬を起こした。 「起きて下さい。起きて・・・、起きなさい、璃音!」 紫音の声に驚いて、犬は飛び起きた。 「え、あ、あれ?」 犬は周りをみて、状況を見つつ、黒い猫と目があった。 「えっと、あんたどちら様?」 「今はそんなボケている場合ではないでしょう?」 「あ、そういえばそうだ。俺とした事が、どじ踏んでつかまったんだったなぁ。で、お前も巻き込まれ組か?」 いたってマイペース。ああ、間違いない、彼だと確信する。 「貴方、璃音ですよね?」 その名前に、犬は猫をにらむようにみて、なぜ知っているとうなる。 「間違いないんですね?良かった。やっと、会えましたね。璃音。」 相手は知っているようだが犬にはわからない。 「あ、もしかしてわからないとか?」 「う、うるさい。お前誰だよ!」 本当にわかってもらえていなかったのかと少し悲しい気分だが、この姿ではしょうがないかもしれないと思いつつ、名前を名乗った。 「私は紫音。覚えているでしょう?璃音。まさか忘れてしまったってことはないでしょう?」 紫音という単語に反応し、お前かと猫の小さな肩に大きな手を載せて、うれしそうにいう。 「なんだぁ、お前だったのか。しっかし、えらく変わったなぁ?」 「いろいろありましてね・・・。」 だが、今はそんな思い出話に花を添えている場合ではない。 「・・・逃げますよね?」 「ああ、もちろん。俺もいつまでも大人しくしているのは性にはあわないからな。」 そういって、立ち上がる。といっても、犬であるから四足で立つのだが。 「あ、そうそう。ここではいちよう、アンディベルって言うんだ。で、このお嬢さんが飼い主。」 「へぇ、そうなんですか。では、私はともかく、魅音には気をつけてもらわないといけませんね。」 「え?あいつもいるのか?」 「ええ、いますよ。今頃私を探しているんでしょうね。少々悪い事をしましたね。」 その間に、アンディベルは飼い主の少女を背中に乗せる。 「とにかく、外にでましょう。」 「わかってるよ。」 男達が気付かないうちに、逃げ出した三人。目指す先は文化祭。少女を確実に守ってもらう為に。 「あー、こういうときに魔法が使えてたらなぁ。」 道路を走る犬と猫。犬の背中には少女がいる。だが、人がいないために、誰も不審に思わない。 「しょうがないでしょう。今こちらにいる四人の中では、使えるのは魅音ぐらいですよ。」 「へぇ、四人ともそろったってわけか。本当、運命っていうか、腐れ縁だな。」 「でも、彼女はまだ、記憶がありませんよ。何せ、私達とは違うんですから。」 その言葉に、察するアンディベル。 「転生したってわけか。人に。」 「ええ。異音は今、人として過ごしていますから。 「へぇ、そうかい。ま、人だろうと化け物だろうと、結局はどこかで繋がってるんだろうよ。 「そうですね。」 そういいながら、一刻も早く、少しでも遠くへいこうと走った。 その頃、男達は三人がいないことに気付き、慌てて周辺を探した。だが、見つからなかった。 そして、魅音達も、いなくなった女子生徒とともに、紫音を探していた。 どちらも、三人の行方を捜していた。
探している最中、麻美に誰かがささやいた。 『もうすぐ、帰ってくるよ。』と。 だが、近くにはその声の主がいないし、魅音がいったのかと聞いても違うという。
四人が再会を果たせるのはもうすぐ。もう、そう遠くない未来に・・・
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