終章 空への階段の先には 病室をずっと見ていた三人の後ろから、空から光が差した。 「・・・そろそろ、お別れですね。お迎えの階段が現れてしまいましたからね。」 これで、本当にここからお別れ。人ではないこの二人とも別れなければいけない。そこで、最後に話をと、春華が話し出す。 「紫音、私ね、また、次会った時も友達になりたいな。誰かに聞いた話なんだけど、死んだ人は生前近い人の近くで転生するんだって。だからね、私はきっと桜華やお母さん達のもとに戻ってくると思うの。そして、紫音と近くで会える気がするの。」 春華が話し出した無いように紫音は笑みを浮かべる。 「そうですか。うれしいですね。覚えておきますよ。必ず、見かけたら声をかけますね。しかし、前世の記憶は持って生まれても忘れる事が多いんですよ?この世界に住む人間のほとんどが覚えていないのですよ。まれに覚えている人間もいますけど。それでも、いいんですか?」 「いいの。記憶が忘れて残っていなくても、心が同じだったら、何か思う事があるだろうし、紫音が会いに来てくれたら思い出すよ。」 あっけらかんととんでもない事を言ってくれる春華に苦笑する紫音。まったく、最近であった友人と似ていると。 「わかりました。待っていますよ。約束しましょう。貴方がこちらに戻ってきた時、私は貴方に会いに行きましょう。覚えているいない関係なしに。」 「ありがとう紫音。」 約束が出来て春華は満足そうだった。 後、とつけたして何か言葉を残して、これで本当に何も悔いは無いと笑顔を向けた。 二人が見守る中、春華は光の階段に触れた。そして、スッとそこから姿を消した。 春華は、空から降りた光の階段を上っていった。その先には・・・。 残った二人は消えた階段の先をぼんやり眺めていた。 「なんだか、今回もあまりいい終わりではありませんでした。私は疫病神なんでしょうか・・・?」 「しょうがないでしょ?人間の世界事態、上手く行く事なんてないんだから。何でも思い通りになるようだったら、滅びてるわよ。第一にあのひねくれた神様がそう簡単にいい終わりにするわけないでしょう?」 この二人からすれば、神は何でもない存在だった。人間から見れば罰当たりだと言われるだろう。 「ほら、いつまでも沈んでないでさ。今度、恩人さんの麻美さんの文化祭があるらしいんだけど・・・。行きませんか?」 二人は久しぶりにいろいろと語り合った。 もちろん、春華から伝えられた伝言を手紙に書き直して、約束を守る為に友人のポケットにこっそり忍ばせて。 春華の転生先はもう決まっている。だから、時間が来れば会いにいける。 春華の言った通り、近い人間の元で転生する。 『はーちゃん、約束だよ。』 『うん、約束。おうちゃんの約束絶対守る。はるか、約束破らないよ。』 『絶対、約束。ずっと一緒にいようね。ずっと友達だよ。結婚しても、おばあちゃんになってもずっと。』 『うん、約束。いなくなっても、戻ってくるから。ずっと友達だよ。』 懐かしい記憶の中でいなくなった友人の声が聞こえた。 聞き覚えのある猫の鳴き声を追いかけた。 だが見失った。 その時初めて何時の間にか封筒が入っていた事に気づいた。 中身を読み、少女は先程まで流れていた涙が再び流れ始めた。 <END> |