――ピチャン






動きもない水面が、何かに触れ、揺れる



水面の波紋をつくるのは、朱い着物を着た女
その女は、この地の主



彼女は気まぐれだから、気をつけなさい
そこに住む者達は、口をそろえてそう言う



姿を見た者がはいない
そのはずなのに、皆はそういう



その真実を知る者はいない



――一人の青年が彼女と出逢うことで、物語は大きく動き出す
そのことすら、誰もまだ知らない