後日 「まったく、馬鹿のせいで。」 「スミマセン。」 冷や汗を流してびくびくしながら立つ黒服の男、快斗。 現在ドクターとウィッチからお説教を受けていた。 「それでなくても、健康な人じゃないし、体調を崩していたというのに。」 「そもそもの原因が貴方じゃね。私、言ったわよね。」 「はい。スミマセン。」 言葉も心なしか震えている。 そこへ、快斗とふらふらしながら新一が姿を見せた。 「ちょっと、新一君。寝てなさいって言ったでしょ。」 「でも。」 「あー、わかったわよ。ほら、さっさと部屋に連れて行きなさい。」 「はい。」 逃げろと言わんばかりに、新一を抱き上げて部屋から出て行った。 さて。昨日いろいろありながらも、上手く丸く収まった。 だが、無茶ばかりしたせいで、新一は悪化し、再び高熱に魘された。 ま、彼が幸せでいることが前提だから、その先にあるのがそもそも幸せを奪おうとした原因の男手あっても妥協せざる得ないのかもしれないが。 「いじいじしてて、むかつくわ。」 「今度、薬を盛ってやろうかしら。」 新一に対しては平常心で見せていたつもりだが、実際は内心かなり荒れまくっていた。 簡単に言えば、快斗が入ってきても気付かずに無防備に過ごしていたり、すやすやと寝てみたり。 何度、快斗は手を出そうとしたことか。 それを押さえるためにしていた行動が新一に不信感を抱かせ、距離を取っているように思われたこと。 誤解を招くような会話をしたこと。ま、紅子もタイミングや気付かなかったことにも悪かったのだが。 新一に聞けば聞くほど、ありえないことや、そんなことでと思うようなことばかりでため息が出るほど。 結論としては、どっちも馬鹿なのだ。 「しばらくは平和かしらね。」 「さぁ。反対に甘すぎて嫌になりそうな気がするわ。」 「・・・それもそうね。」 「新一。寝てなきゃ駄目でしょ。」 「ん。」 「聞いてる。」 「・・・。」 布団の上にいても、快斗を離さない。話をしていても、聞いている様子はない。ただ、べったりと甘えるようにくっついているだけ。 許してもらえているのはよいけれど、また理性とかがいろいろと危うい。 「ねぇ。聞いてもいい。」 「ん、何?」 「新一にとって、俺って何?」 「・・・馬鹿。」 「ひどっ。」 「お前は馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。だけど・・・。」 だけど、好きなんだと小さな声で言われ、ご機嫌になる快斗。 「それとさ。西の探偵君だけど・・・。どうしてあんなにあいつのことを心配して・・・。」 「だって、知り合いだし。」 知り合いと聞いた瞬間、少し西の探偵に哀れみを覚えた快斗。 新一にとって、あの男は親友でも友人でもないということだ。 「あれでも、平蔵さんの息子だし。」 帰ってこないと心配するだろと答え、この前も無茶して怪我して怒ってたけど、心配もしているだろうから、快斗達がやったとわかったからパニックになったんだと答えた。 「平蔵さん?」 「服部の親父さんで、父さんの知り合いの一人。」 確か、お前の親父さんも知り合いだったよな。妙に仲が良くて、たまに悪人っぽいと言い、それは間違っていないとわかったが、新一に言えなかった。 そもそも、この組織事態、警察と繋がっているのだ。 犯罪組織をつぶす為、多少は無茶しないともう収まらないから。 なんだか、それを聞いて余計に安心してしまった。 そして、話題の元である探偵君は現在、大阪に送り届けられ、入院中だとか。
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