◆時の冒険日記―に

 

 

ん〜、なんだか綺麗なご主人様の様子がおかしい。

あれっと首を傾げてみるものの、勘違いかなと思わせるほど、綺麗なご主人様はいつもと変わりがなかった。だから、気のせいかと思って、二人が出かけた後、家でごろごろしてたんだ。

ぴくっと耳を立てる。ご主人様が帰ってきた?まだ帰ってくる時間じゃないと思うけど?

どうしたんだろうとなぁ〜っと鳴きながら駆け寄った。すると、綺麗なご主人様の様子がおかしかった。

すぐにお隣さんもやってきたりして、すごく心配になって綺麗なご主人様の側に寄ったんだ。

話しているのを聞いていると、夏風邪という病気らしい。うつる病気らしいけど、それ以上に綺麗なご主人様が心配で呼びかけてみた。

でも、ご主人様が僕を攫んだ。何するんだと抵抗しようと思ったけど、ご主人様の不安な顔を見たら暴れることなんてできなかった。

賢いなと頭を撫でる手はとても暖かくて、気持ちが良かった。

どうやら、今は暴れてはいけない時らしい。なので、ご主人様の為に大人しくしてようと決める。

「朝気付かなかった俺の失態だな。」

そう呟くご主人様に、やはり朝様子がおかしかったのは間違いなかったのだと時は気付いた。

ならば、これからはご主人様が後悔しないように、そして綺麗なご主人様が今日みたいに倒れないように見張っておかなければと決意を新たにする。

だけど、携帯電話というものを見て、苦笑しているご主人様に何があったんだろうと思う。

しかも、そのうち来てしまいそうだって、いったい誰のことなんだろう??

ま、いいや。目を覚ました綺麗なご主人様の膝の上に飛び乗る。

いつもなら構ってとじゃれるが、しんどいらしい優希の負担にはならないように大人しく座ってるだけ。

やはり、人の膝の上はいいものだよなぁと思いながら。

きっと、聞いていい話ではないと思うから、今は寝ていよう。寝たふりでもいいや。

しばらくしてご主人様は部屋を出て行ったみたいだ。

「本当、心配性ばっかり周りに集まっちゃったなぁ。」

そんな事を呟きながら、時の頭を撫でてくれた。とても優しい温かい手で。

 

 

 

 

数分後、ベッドから出ようとする綺麗なご主人様に頭を上げて時は動いた。

すると、タイミングよくご主人様が現れた。

「あ・・・。」

「・・・駄目でしょ?」

なんだか、ご主人様が笑ってるけど笑ってない。う〜ん、今日はご主人様の味方になってあげよう。綺麗なご主人様に元気になってほしいからね。

時は飛びつく。

そして、三人で仲良く一緒に寝たんだ。なんだかあったかかくてずっとこうしてたいなと思った。

けど、現実っていうのは甘くないっていうものらしい。なんだか、次の日現れたお隣さんが怒ってた。ちょっと怖かった。