◆時の冒険日記―いち

 

 

僕は時。貰われた家で時と名付けられた。何でも、しょくぶつって奴の名前からとったらしい。

まだ『たいむ』って奴は見た事がないが、べたべた触られるのはくすぐったいし、もっと遊びたい。

そう思って、よくご主人様の顔を引っかいたりしてた。

そうしたら、どうやらおでかけらしい。外は気持ちいい。だけど、どんどん見知った世界が変わっていく。どうしよう。

「なぁ〜。」

「どうした?」

ごろごろ〜っと擦り寄れば、なでてくれる。確か、かいとって名前のご主人様。

どこに行くの〜っと尻尾を振ってみる。

そしたら、何と大きな家の中に入っていく。

もしかして、また僕はどこか連れていかれて、知らない人のところに預けられるのだろうか?

引っかいたり悪戯したから?

「なぁ〜う〜。」

ガリガリと手を引っかいて逃げる。だが、今回はご主人様は離してくれなかった。

あ〜、もう駄目だ。お別れなんだ。

結構構ってくれるから好きだったのに・・・。

「優希。」

扉を開けると、そこには綺麗な女の人がいた。しかも、ご主人様と知り合いみたい。

「かわいい。おとなしいのね。」

今日からここなのか。とりあえず、いい匂い〜。ごろごろ〜っと擦り寄れば優しく撫でてくれる。気持ちいいや。

でも、可笑しな事にご主人様の機嫌が悪くなってる??僕はこの家の子になるんじゃないの??

よくわからないし、考えてたら疲れちゃったよ。

だから、今日は寝よう。明日また聞けばいいや。

綺麗なご主人様の腕に抱かれておやすみなさい。

 

 

 

なんだか、この家は広くて寂しいかと思ったら、賑やかだった。いろいろとお客さんが来るんだ。

それで、知ったんだけど、前のご主人様はお出かけでいないからこの家にお泊りにきてたんだって。

またどこか連れて行かれるのかと思ったけどこれで安心。

ご主人様もどこかやる気はなかったんだね。どうやらご主人様もこの家に住んでるみたいだし。

この綺麗なご主人様のことが好きみたいだし。これはこれでおもしろいかもしれない。

きれいなご主人様にごろごろっと擦り寄ると怒るの。

まだ甘えたい盛りなんだから我慢してよね。もうちょっと大きくなったら、ちゃんとご主人様の恋の応援してあげるから。