どうして気づいてしまったのだろう 後悔しても遅いけれど・・・ 「・・・似ても似つかないわね。」 「え?何が?」 「はぁ・・・。」 「どうしてため息?!」 二代目キッドということに気づいたこと この素を知っているので、キッドの口調がかなり似合わない 彼の父親は、ほとんど素に近かったと思うけれど 「あ、お茶いる?」 「はい。」 現在優希は、保健室で快斗と紅子とともに昼食をとっていたりする 保健室の秘め事−帰還とご挨拶 昼休みがそろそろ終わりを告げる。 「そろそろ、教室に戻りますね。」 「そういえば、時間だね。」 と言ったと同時に、くそっと舌打ちしたが、優希には聞こえていなかった。ちなみに、紅子にはしっかりと聞こえていたりする。 呆れた顔をしている紅子に、どうしたのだろうかと思ったが、もうすぐ予鈴がなるために、保健室を出ないといけない。 ここから教室は結構距離があったりするからだ。早めに行動しないと、どうなるかわからない。 「放課後、送るから来てね。」 「歩いて帰るのでいいですよ?」 「優希に合わせたい人もいるから、お願い。」 「・・・わかったわ。」 別に送ってもらわなくてもよいのだが、合わせたい人が重要な人なのなら、暇もあることだし応じておこうと思う優希。 先日おかしなことに巻き込まれることになった、補佐の人の可能性が高いから。 近いうちに合わせるから、と、言われていたからだ。 ばいばいと手を振ってにこやかにしていた快斗。 完全に優希の気配が遠ざかれば、少しご機嫌斜めに。 「・・・馬鹿な男。」 「うるさい。」 まだまだ、距離は遠い模様。 優希は教室に戻る途中、生徒が歩き回る中、見かけた子供。 ここは高校の校舎内。よくて小学生だと思われる子供がそこにいたのだ。 そして、どうしたんだろうと思いながら方角がそちらであるために歩いて近づいていくと、ふとその子供が振り返って優希を見た。 そして、優希は子供の顔を見て、ある意味驚いた。 「嘘・・・。志保の子供?!」 「違うわよ。」 声は多少幼くなって違っているが、口調は優希がよく知るものだった。 そう、今言った名前、志保と同じ。 「だから、志保の子供・・・。」 「違うわよ。」 「・・・誰?」 「本人よ。」 「・・・冗談でしょ?」 とりあえず、予鈴もなり、生徒達がばらつきはじめた頃、人が減れば自然とこの子供が目立つので、優希は抱き上げて、立ち入り禁止の屋上へ続く階段へと駆け上った。 その場にいた生徒は、あまりにも早いために、風だけがその場に吹き残った。 なんだったんだろうかと誰もが思ったが、気にせずそれぞれ教室へと戻っていくのだった。 さて、そんなことお構いなしに立ち入り禁止の鍵をかけられた屋上のドアを無断で開けて、しっかりとドアを閉めてその子供を下ろした。 「ここなら、大丈夫ね。」 ふうっと一仕事したような感覚になりながらも、やはり気になる子供。 「・・・何度も言うけれど、私は志保よ。」 「・・・なら、どうして縮んでるの?」 冷静神が欠けそうになりながら、なんとか聞く優希。 「それはそれよ。」 「だから、どうしてそうなるのよ。」 いったい、何をやってたのと問いかける優希。 説明すれば、今でこそ縮んでいて見た目小学生だが、顔は現在連続欠席中な志保と同じ。 そして、口調も同じ。 そんなクラスメイトな彼女は、優希のお隣さんだったりする。 しかし、つい数日前。何かの薬草を手に入れるために、お隣に住む自分の保護者代わりな阿笠博士と共に、どこか出かけていたはずだった。 いつもならかかってくる電話や届くメールが一切なく、だからこそ連休にここぞとばかりに夜更かししようとして別の方法で阻止されたが、そんなこんなで、行方不明状態で少なからず心配になっていたりしていたところだった。 だが、それ以上におかしなこと(快斗のことやキッドのこと)が多く起こり、少し頭から忘れてしまっていたけれど。 「いろいろあってね。」 聞いてよいものなのかわからない内容を、とりあえず聞いてみる事にした優希。 「簡単に言えば、間違ったのよ。」 「何を?」 「作った薬。」 で、どんな薬を作ろうとしたのですかとはさすがの優希も聞けなかった。 「・・・で、目的のものは見つかったの?」 「ええ、それはぬかりないわ。」 しっかり大量に持ち帰ったらしい。きっと今頃、地下室にはそれが多量に置かれて整理もされていることだろう。 そういうところにはしっかり手を入れる志保だから。 「・・・戻れるの?」 「さぁ?今解毒剤作ってるけど。」 解毒剤って、本当に最初は何を作ろうとしたのですか? そう思うと、見透かされたのか、つい言葉に出てしまったのか、にやりと口の端があがって見えた笑み。 「迷惑な二人への対策用よ。」 「そう。周りに迷惑がかからないようならいいわ。」 迷惑な二人の安全は優希にとってもどうでもよかったりするので、それについては咎めなかったりする。 「それで、どうするの?」 このままでは、せっかくどこへ行っていたのか知らないが、帰ってきても学校へは来れない。 「それが問題なのよ。」 ほら、おかしな虫が多いから、困ってるんだものと言うが、優希には通じない。 ちなみに、しっかりと本鈴は鳴っていて、現在授業中だったりする。 優希はすでにさぼる気満々だが、出席日数がやばいでしょと、志保にクラスへと戻されることになった。 途中で別れ、小学生の姿の志保は先に家で待ってるわと、誰もいない廊下を歩いていくのだった。 「・・・そう言えば、快斗さんの事、言うの忘れてた。」 すっかり志保の突然の出来事に驚き、言うのを忘れていた。 だが、どうにかなるだろうということで、後回しにすることにした。 話をするには、一緒に帰る予定である本人も一緒に連れて帰らないといけない。 そんなことを考えながら、優希は授業を途中参加するのだった。 もちろん、担当教師は心の中で泣きながら、席に座らせ、授業を続けるのだった。 ちなみに、優希は一切話を聞いていなくて、さらに教師はやっていけるだろうかと泣いていたのだが、それは優希の知らないところ。 授業の合間の休み時間。蘭と園子には今日のことを謝っておいて、帰る用意を済ませる優希。 お手洗いに言ってくると、二人と別れて廊下に出た後、ふと中庭方面の窓から、この学校では見ない顔を見つけた。 前回、来る事は知っていても知らない顔ということであんな出会い方をしたけれど、基本的に優希はこの学校の生徒や教師の名前と顔を全員覚えているのだ。 だから、知らない顔は見つければ不審に思ってしまう。 だって、こそこそと様子を伺って、何かを隠すように持っているのだから。 お手洗いへ手を洗うだけのつもりが、これは事件かもと、自ら巻き込まれに向かうのだった。 そして、中庭へと出たとき、裏庭の方へ向かったのを見ていたので、そちらへそおっと近づき、覗いてみた。 すると、何かをそこに置いて作業をしている。 そこでふと、最近言われている事件を思い出した。 無差別に犯行を行う爆弾犯。 一番最近の件で出た目撃情報。それにひっかかる部分がある怪しい男。 「ほぼ、間違いはないってところかしら?」 この近辺が次のターゲットだとはわかっていてから。理由は簡単。 地図を見れば、順番に一直線に線が引けるような感じで続いている。 そうして、結局何がしたいのかはまったく理解不能だが。 「まさか、学校に来るとはね。」 男がセットし終えたのか、離れたのを確認してそれに近づく。時間に余裕があるが、来れるとはわからない。 電話で馴染みのこういったことの専門者を呼び、男が歩いていった方向へと向かう。 逃がしたかと思ったが、どうやら違ったようだ。 移動してグラウンドの影に当たる場所にまた同じようなものを設置していた。 「この分だと、他にもありそうね・・・。」 とりあえず、この男を捕まえておこうかと考え、気配を消してそっと近づき、現在小学生な姿になったお隣の志保が作った麻酔銃で狙いを定めて倒す。 その時、タイミングよく、一歩間違えればタイミングが悪く電話が鳴る。 「はい。」 『どうかしたのか?』 「陣平さん。メール見たでしょ?」 『見たが、学校で爆弾って、どうしたのかと聞いている。』 「例の、連続爆弾犯が現れたのよ。」 『それは早く言え。』 側で聞こえてくる研二の声と、他に聞こえてくる音や足音でこちらまで走っているのがわかる。 『今日、そっちに行こうと思ってたところだったから丁度良かったけど。』 「とにかく、急いで。一つじゃないかもしれないから。」 『まさかっ!』 「他は任せるわ。」 『お・・・。』 ぶつっとそれ以上は聞かないと言わんばかりに陣平に繋がっていた電話を切る。その後は電源も切って、集中できるようにする。 そして、どうして持っているのかと思うようないろいろ使える便利セットを取り出して、解体をし始めるのだった。 もちろん、犯人は側でぐっすりとお休み中。 かけつけた二人は、優希の姿を見つけて状況を聞き、二手に別れて爆弾の解体へと向かった。 だいたい過去の件や感じから、だいたいこれぐらいと思う場所へ向かい、次々と解体する。 まったく、どれだけ仕掛けてくれるんだと思うぐらい意外な事に数は多かった。 今までにないことで、さすがに慌てた。 そして、校内もさすがに一階より上までは仕掛けてないようだったので、一階だけ警戒して全てを終わらせた。 「休憩がパアだな。」 「すみません。」 「気にしなくていい。」 「そうそう。市民の安全をいかなるときも守るのが仕事だからな。」 そんなことを言う研二話かける声があった。 「なら、最後までしっかりと解体してほしいものだね。」 声がしたと思って振り返る研二の目の前にカシャンと落ちるもの。 「まじ・・・?」 それは、先ほどまで自分達が格闘していたものと同じだった。 「少し席をはずしていた間に、どうやら何者かが侵入したようでね。危ないから解体させてもらったけれど。」 と、普通の保険医ではできないことをやってのけて、誰にも気付かれないように頑張る二人に文句を言う快斗がそこにいた。 「快斗さん。」 「優希も、危ないことをしたら駄目だろう。」 と、くどくどと怒られる羽目になる優希だった。途中から、快斗の意見に賛成な二人も参戦して、小さくなる優希。 現在、味方はいない模様。 「とにかく、何事もなかったようでよかったよ。」 「それでさ、あんた何者?」 それが解体出来る技術があるってことは、結構医学ではなく工学にも強いってことでしょ?っと聞いてくる研二に物を作るのは好きだからと答えておいた。 「そうそう。しっかりと挨拶が終わってなかったよな。俺は萩原研二だ。」 「そう言えば、あの日顔をあわせて以来だな。・・・俺は松田陣平だ。」 「この間から、優作さん経由で優希と同じ家で食事係りやらせてもらっているここの保険医、黒羽快斗です。」 「・・・無理やりやったら、俺らが許さないからな。」 はっはっはとそんなことを言ってばしばし快斗の肩をたたいてかなりテンションの高い研二が、今度は陣平の肩をつかんで仕事に戻らなければいけないからこれでなーっと去っていった。 そして、時間に気づいた。 「もうすぐ、授業が終わりますね。」 「気づかれる前に犯人を連行してくれるってところかな?」 玄関から見ていると、寝ている犯人を担ぎ上げる研二がいた。松田も忘れていた連絡をしているのだろう。 「・・・結局さぼってしまった。」 これで、二時間さぼったことになる。 可哀そうに、担当で来た教師は、優希がいないことで泣いていたとか。(出席日数をつけるたびに、補習で出席日数が増えるので。) まぁ、そんな教師達の涙の理由など知らない優希は、もういいやとHRもさぼって、帰るという快斗の後についていくのだった。
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