「えっと、新一・・・。」

 

これはいったいどういう事なのかと質問する

だって、昨日は一緒に夕食食べて、ただ一緒の布団で寝ただけ

あ、ここで言っておくが、お隣さんの目が怖いのでやってはいませんよ

これは本当

なのに、これはいったいどういう事だろうか

 

「おっ、きいたのか?」

 

へぇ、本当だったんだというあたりから、どうやら原因は新一のようであった

 

 

 


魔法の効力の先にあるもの

 


 

 

何をするにも一苦労。

現在快斗の状況はというと、江戸川コナンと同じように、お子様になっていたのだった。

「何だか、視線が変わると不思議な感じだね。」

最初は驚いていたが、今は別に気にしていないらしい快斗。

だが、戻り方はどうなんだろうと、新一は昨日持っていた例のものを取り出した。

「何それ?」

「ん?昨日これを買って、お前に飲ませた。」

「飲ませたってねぇ・・・。それにしても、これ、どこで買ってきたのさ?」

こんな得体の知れないものを買うなんて、いったいどんな店に行って来たんだと聞けば、けろりと昨日二人に付き合っている時にたまたま見つけて、面白そうだったからと答える。

「そうか、わかったぞ。原因は紅子だな?!」

こんな物騒なものを売っている店を知っている人間なんて限られている。

間違いなく、クラスメイトで魔女と名乗る紅子の仕業だと、電話をかけようとした。

「おい、てめぇ。新一を昨日何処に連れて行きやがったんだ?!」

『あら、黒羽君。どうしたの?それにしても、機嫌が悪いみたいね?まったく、やきもちかしら?心の狭い男ね。』

いきなり失礼なことを言ったとわかっているが、相手もやっぱり只者じゃないので、返答もすごかった。

「だいたい。お前等の買い物にどうして新一が付き合わされるんだ!」

『約束だからいいじゃないの。それに、昨日はあのあと幸せそうにしてたじゃない。』

「また、覗いてたのか?!」

『覗くだなんて、人聞きの悪い。私はただ、見えただけよ。』

「なお悪いわ!」

もういいと、ガチャンと切る。

電話をして話をしていたら、余計に頭に血が上った気がする。

不機嫌丸出しで新一のもとへ戻ってみたら、何やら真剣に紙を見ていた。

どうやら、快斗が子供になった原因の薬の、取扱説明書のようだ。

「何か、書いてあったか?」

「ああ、戻るためには二つの方法があって、今は一つ目の料理編見てる。」

「料理?」

「面白い事に、魚・・・。」

「却下。」

すぱっと素早く紙を取り上げる。

「おい、何するんだよ。俺はそれを今から作るんだ。」

「駄目。アンナ得体の知れない生物なんか食べれません。人の食べ物じゃない。絶滅すべき生物だ。」

そこまで言わなくてもいいと思うほどの嫌いよう。さすがに新一も呆れるぐらいだ。

「だから、もう一つの方法ね。」

どんな方法なんだよと聞いてくるあたり、どうやら知らないようだ。

そして、読み終わった快斗はにやりと企む悪魔の笑みを見せる。

ぞくりと、何かを感じて新一は少し快斗から離れる。

「あれ?どうしたの?」

離れた新一を追い詰めるように近づいてくる。

「いや、なんとなく・・・。」

だが、逃げるにしても範囲は決まっていて、あっけなく捕獲された。

背中には壁。両手は快斗の両腕が、足は快斗の身体が邪魔して動かせない。

やっぱり、嫌な予感。

「あれね、誰かにキスしたら戻れるんだって。」

「へぇ。じゃぁ、頬にキスだけでいいんだろ?」

「やだなぁ。昨日寂しかったんだよ?我慢していた快斗君への御褒美はないのかなぁ?」

小さくてもやっぱり快斗のようだ。

「大人しく、いただかれてね。」

「嫌だ〜〜〜。」

と、叫んでもしっかりと口は塞がれた。

それも、息をする暇も与えないほど深く・・・。

どれだけの時間キスにおぼれていたのかわからない。

新一も快斗とのキスは心地よくて好きだ。だけど、ずっと仕掛けられていたら、さすがに息はあたってしまう。

ぼんやりと快斗を見れば、反則だと思っても仕方ない。しっかりと彼は戻っていた。

「じゃぁ、もう止まらないから。大丈夫。加減はするつもりだから。」

するつもりって、はじめからないくせに。

睨みつけても、潤んだ瞳では威力はなく、ただ快斗は苦笑しているだけ。

「とりあえず、お姫様を運びましょうかね。辛いけど・・・。」

現在彼等はリビングの床の上。それも壁を背中にしているのである。

「あまり疲れさせると、やっぱり哀ちゃんが怖いし。」

しっかりとお姫様抱っこで移動中。

その間、離せ〜と無駄な抵抗をする新一がいた。

 


その後、新一は快斗に散々付き合わされて、夕方にはへとへとになっていた。

だけど、こうやってぎゅうっと抱き合って一緒に寝ているのは気持ちがいい。

一人はさみしかったから。せっかく温かい人が近くにいるから。側にいたいと思ってもいいじゃないか。

甘えて手を伸ばしてくれる新一が、愛しく思える。普段でも、もっと甘えてほしいのだが。

 


さて、もう一眠りしようか。

起きたらお隣さんが怒って下にいるかもしれないけれど。

今はこの幸せに浸っているだけで充分。

 

 

 


魔法の効力の先にあるもの

それもやっぱり、やきもちと同じで甘い恋人の時間

 





       戻る