明らかに不機嫌ですといった顔で、母親は呆れ返っていた。 「まったく。帰ってきたかと思えば、何よそれ。鬱陶しいから、追い出すわよ。」 「・・・。」 「もう、何でそんな子になったのかしらね?ポーカーフェイスどこに置いてきたの?もう、盗一さんにあわせる顔がないわ。」 「うっせぇ。」 「うるさいじゃないわよ。もう、家に居るのなら、掃除手伝いなさい。」 さすが母というか、拒否権はなし。 しょうがなく、快斗は不機嫌の顔のまま、掃除を始めることとなった。 その後、幼馴染が来て快斗の顔を見て、バカイトがむくれてると笑われるのはもう少し。
やきもちの先にあるもの
そもそも、快斗がこんなにも不機嫌になった理由とは、最近恋人になった新一関係にあった。 今日一日、休みを一緒に満喫しようと家に行ったのだが、帰りなさいと、何故かいる紅子と快斗も適わないお隣の少女、哀が待ち構えていて追い返したのだった。 どうやら、これから三人で仲良くお出かけらしく、自分も行くといったのだが、駄目だと理由も聞けずに紅子の得体の知れない魔術で家まで戻されてしまったのだった。 せっかく、新一と一緒にいられると思ったのに。 家に帰ってきたら母に捕まり、買い物をさせられて帰ってきて上記の場面に戻る事になる。
さて、工藤邸に戻ってみよう。 こちらでは、快斗同様に少々不機嫌な新一がいた。 「どうして快斗を追い返したんだよ。」 「だって。今日は私の誕生日よ?一日付き合ってくれるって言ったじゃない?」 「そうだけど・・・。」 日ごろのお礼もかねて付き合うと哀に言ったのだ。 それに、最近知り合って仲良くなった紅子はよくて快斗が駄目。それには納得できなかった。 「紅子とは、女同士だもの。」 「だったら、俺は・・・。」 「たまには、家に篭らず外に出なさい。」 まぁ、不機嫌で居てもしょうがないし、約束は約束なのでとりあえず出かける事にした。 向かった先はデパートで、二人の買い物に付き合わされる羽目になった。 デパートと行っても、いつも快斗や幼馴染とクラスメイトと行くようなデパートではなく、かなり胡散臭いような得体の知れないところ。 それも、薬や薬品、奇妙な植物や何かの呪い道具などなど。 「こういった薬や薬品は、私の歳じゃ売ってくれないんだもの。」 溜息が出る。それで誕生日プレゼントを何か渡すと言えば、今日付いてきてくれたからいいわよと答える。 だが、何も渡さないわけにはいかなかった。やっぱり、日ごろのお世話になっているお礼がしたいのだ。 そうすると、やっぱり紅子にも何か渡そうと考えて、自然といろいろな商品を見て回った。 そして、彼はかなり奇妙な薬を見つけたのだった。 二人が買い物の最中、しっかりとそれを購入。 かなり胡散臭くて嘘っぽいから、ちょっとした冗談のつもりでためしてみようかと思った。 だから、今日は二人につき合わされたとしても、面白そうな事が起こるかもしれないというちょっとした気持ちから、気分が晴れる新一。 だが、それは冗談でも嘘でもなく、ここは正真正銘、魔法使い達の魔法デパートで、全て魔法使いや魔女達お手製の魔術道具や薬品がそろうところ。 なので、試してみようと思った事が現実になるのは近い。 今日は!とやって来た快斗に試して、結果が明らかになる。
合流して、少し楽しそうな新一を見て、何か買ったのかしらと思ったが、あえて何も言わなかった。 ただ、明日が少し楽しみねと思いながら、紅子は家から水晶をみていようかしらと予定を決めた。 さて。買い物をしっかりとしてほくほくした気分の三人が家に帰ってきた時。 家の前に快斗はいた。 座り込んで、かなり情けないというか、いじけていた。 二人はちょっとした意地返しのつもりでやきもちを焼かせてみただけなのだが、鈍い新一にはまったく理解できない感情だったので、首をかしげていた。 「新一〜。」 「快斗?どうしたんだ?」 家にかえったはずだろと言えば、お泊りするんだと言い、夕食用意できているから食べてと、家に連れ込んだ。 「・・・相当、やきもちやきみたいね。彼。」 「たまには、やかせるのがいいのよ。」 「そうよね・・・。」 二人もそれぞれ家に帰った。
やきもちの先には甘い時間がまっている。 不機嫌で、いじけていた彼はもう笑顔でご機嫌。 さて。新一が買ってきたもの。 その薬の効果は明日の朝にはわかるはず・・・。 あとがき い、如何なものでしょう・・・?(どきどき |