さて。ここに一組のカップルがいます。

誰が見ても嫌になるほど人前でいちゃついています。

 

お隣さんも、最近では呆れ果てています。

 

見てられないわ・・・。

そんなことをつぶやいたお隣さんがいたが、まったく耳に届かず自分達の世界にいる二人。

 

そんなある日のこと。

平和な彼等の日常に突然やって来た人。

そのおかげで、快斗はもちろん不機嫌ですが、新一も少しずつ不機嫌になるのでした。

 

 

 

大好き、今もこれからも

 

 

 

ことの始まりは今朝のこと。

すやすやと眠る愛しい恋人の新一の寝顔を堪能していた快斗。

誤解やらすれ違いやら、いろいろあって、結局今の幸せに落ち着いている。

ちなみに言うと、身体の関係はまだない清い関係である。

たまに襲いそうになるが、それは必死に理性で押し固めて我慢していたりする。

やはり、無防備にふとした瞬間見せてくれる表情一つ一つが愛しくて、見逃すのが勿体無いこの頃。

何より無意識に甘えてくれる彼の仕草が可愛くて仕方なく、甘やかしていちゃいちゃしていたりする。

そして今日も、同じように寝顔を堪能しながら、髪に触れたり、キスをしてみたりしていた。

その時だった。

 

ぴんぽん

 

チャイムがなった。

こんな朝早くに非常識な客だと思いながら、無視する事にした快斗。

それに、気持ち良さそうに寝ている新一を起こすのは忍びないし、今離れるのは勿体無いからである。

そもそも、お隣さんなら勝手に入ってくるし、警察ならまず携帯に連絡があるはずなのだ。

つまり、突然の客で新一の予定にはないもののはず。

だから無視する事にしたのだ。

しかし、チャイムの音はそれで止まることはなかった。

連続で煩くなり始めたのだ。さすがにこれでは新一が起きてしまう。

そして何より、こういったことをする輩について覚えがあるために、怒りが見え隠れする。

「・・・ん・・・ぃと・・・。」

もぞりと動いて、少しだけ開いた目が快斗を見る。

「まだ、寝ていてもいいよ。」

「・・・ん・・・は・・とり・・・か?」

「そうみたいだね。大丈夫。追い返してくるから。」

そう言って行こうとする快斗。

快斗をとるなんてと、すごく新一はご機嫌斜めになる。

それでなくても寝起きが悪いのに。

布団から這い出て着替え、まだ寝ぼけながら快斗を追いかけるのだった。

その頃、どちら様とでた快斗に、工藤を出せと迷惑に騒ぐ男と対面していた。

「朝早くから、迷惑じゃない?」

「そんなことない。それより、なんであんたはこんな時間におんねん。」

「君とは違うからね。俺はそんな非常識じゃないよ。」

「なんやと!」

飛び掛ろうとした服部を無視して、快斗と快斗の背中に勢いよく抱きついた新一。

さすがに服部も目が点状態。今、何が起こっているんだという感じ。

「起きてきたの?」

「だって、快斗・・・。」

「ごめんね。じゃ、とりあえず朝ご飯にしようか。」

と、何気にドアを閉めようとしたが、服部はすかさず扉に手をかけた。

「まだ何か用?」

「わいは工藤に用があんねん。それに、その手を工藤から離せや。」

しっかりと新一の顔を隠すように右手で抱き寄せている快斗。

いつものことなので新一は気にせずおとなしくしているが、服部は気に入らない様子。

「服部。何の用なんだ?」

「そんなん、きまっとるやん。」

とうとうやってきたゴールデンウィーク。つまり、新一の誕生日。

二人だけの夜で今度こそという感じの計画を持ってやって来たのである。

しかし、相変わらず誕生日を忘れている新一は何しに来たのか不明。

覚えていてもわざわざ来なくてもと思うのだ。何せ、快斗がいたらそれでいいのだから。

そのへんに関しては、このばかっぷるとお隣さんは怒鳴って追い返すような感じになるだろうが。

もちろん、快斗は覚えているし、服部の目的もわかっている。

だからこそ、相手をするのは面倒だし、新一との休みの時間を奪われるのはむかつく以外の何もない。

そもそも、この前なんてこの馬鹿のせいで新一が危なかったのだ。顔もみたくないぐらいだというのに。

よくもまぁ、のこのことこれたものだと思う。

そして、快斗は哀と相談して・・・と、何か企みだした快斗に、快斗と自分に何もなければいいやと気にしない新一は、一応うるさくて邪魔で近所迷惑なので家にあげることにしたのだった。

それがいけなかったのかもしれない。

朝食ということで、新一は無意識に、快斗は確信的にらぶらぶっぷりを発揮していた。

かなり打撃を受けたようだが、まだまだ丈夫そうな服部は生きていた。

そして、リビングで新一と快斗は隣で服部が向かいに座り、用件を聞く事になった時。

新一に話しかけさせるものかと、邪魔されてお怒りの快斗は上手く服部と話を繋げていく。

おもてなしもいつのかわからないインスタントだが気にしない。

しかし、それが長時間続くと、新一も機嫌が降下していく。

だって、新一も快斗が好きで好きでしょうがないのだ。

今日だって、快斗と一緒に家でくつろいだ後に夕食の買い物にいったりしようと思っていたのだ。

なのに、いきなりやってきて、用件もはっきり言わずにずっと快斗としゃべっているのだ。

なんだか快斗を取られたように感じで、寂しい。

そこでふと思う。

もしかして、白馬だけでなく服部も快斗が目当てなのか?!と。

いまだに白馬に対して誤解している新一は、さらに誤解を増やしてしまった。

男からみても格好いい快斗だ。きっと服部もなんだと思いだすと、服部が敵に見えてくる。

今まではまだ知り合いの位にいた服部だが、ここでとうとう敵に変換されてしまったのだった。

むっとなって、新一は隣にいる快斗に横から抱きついた。ぎゅうっとそれはもう、可愛い仕草で。

突然のことでどうしたのだろうかと思った快斗だが、新一が暇しだしたのかなと気にせず頭をなでたり髪をすいたりして触れる。

しかし、新一が好きで新一がそんな誤解をしでかしたとはしらない服部は黙っていない。

「おい、お前!工藤から離れや!」

「服部・・・。」

「どうしたんや、工藤。」

快斗に向けるのとは違って本人からは柔らかい笑顔で向ける服部。

その違いが、お伺い立てているようで嫌で、いくら快斗のこと狙っていても、お前扱いするのは許せない。

「帰れ。」

「え、どないしてや。」

「ってことだから、帰ってね、服部君。」

外に出してくるから大人しくしていてねと言うが、一向に離れない新一。

快斗としてはうれしいので、まぁいいやと気にすることなく好きにさせておき、服部にお隣から預かっている睡眠針を打ち込み、倒れたそれを反対の手でつかんで引きずる。

もちろん、もう片方は新一の身体を抱きこむのに使われている。

隣のチャイムを鳴らし、迷惑なものを引き取ってもらった後。

「それにしても、今日はどうしたの?」

むうっとふくれている新一の様子を伺う快斗。

その仕草もまた可愛いので、つい頬をつついてみたりする。

するとさらにぎゅっと腕を攫まれた。

よくわからないが、幸せなのでいいやと気にしない事にした快斗は、工藤邸に戻ろうと歩いていた。

その時、またタイミングがいいというのか悪いというのか。

「工藤君っ!・・・それに、黒羽君!君という人は!!」

工藤君からその手を離しなさいと二人の間に割って入る白馬。

せっかく攫んでいた快斗の腕から離される。快斗もせっかく新一から珍しくくっついてきてくれていたのにと、お互いが白馬に怒りを向ける。

しかし、生憎この人は何もわかっちゃいなかった。

「いきなり何するんだよ!迷惑だ、今すぐ帰れ!」

「帰ってもいいですよ。黒羽君!君を警察に届けたあとでね!!」

突如始まった言い争い。

一人蚊帳の外状態の新一はしゅんと沈む。耳や尾があればしなりと垂れ下がっているような感じ。

二人の言い争いは一向に終わることなく、ヒートアップしていた。

止めようとしても、区切りがなく、どんどんと目の前で繰り広げられていく。

いつもなら快斗は気づいてくれるのに。

やっぱり、自分がいろいろと余計なことをしてきてしまったし、さっきのことで(実際は気づかれていないことに)呆れられて、興味がなくなってしまったのだろうか。

考え出すと、また止まらなくなる。

話しかける隙すらない二人のことを置いておいて、家に引っ込む新一。

真っ直ぐ部屋に戻って布団の中に潜る。

何も聞かない。何も見ない。言い聞かせて。

その頃、こんな馬鹿にせっかく新一の誕生日に立てた計画を邪魔されてたまるかと文句を散々並べた快斗は、ふと新一の気配が消えていることに気付いた。

「しまったっ。」

やべっと快斗はすぐさま家の中に入る。

白馬が追いかけてくるが無視。あとでお隣に電話しておけば・・・しなくてもきっとうるさいから回収してくれるだろう。

快斗はそんな馬鹿のことよりも、二階の自分の部屋にある新一の気配の方が大事。

もしかして、呆れられてしまったのではないだろうか。

あれだけ新一から目を放さないと決めていたのに。目を放すと何をするか、何に巻き込まれるか、何を誤解するかわからないからだ。

 

 

 

 

 

ノックをしても返事がない。しょうがないと思いないと思いながら中をのぞくと、布団の山があった。

「新一。ごめんね。」

新一を無視してたわけじゃないからねと言って、布団から新一を出す。

快斗の顔を見ようとしない

また、何か誤解してしまったのだろうか。しかし、まず最初に言っておくことがある。

「俺が好きなのは新一だからね。白馬鹿なんかとは違うからね。」

前回、誤解していることが発覚したこと。まず訂正しておかなければいけない。

すると、ぴくっと新一の肩が揺れた。

やはり、まだ白馬のことを疑っている新一はそう考えてしまったのだろう。

近づかないでくれてうれしいが、それで自分から離れられるのは困る。

「あいつに邪魔されないようにしたかったから、追い返してただけだからね。」

本当は明日言うつもりだったんだけどと、快斗は言う。

なんのことだと快斗を見上げれば、にっこりとした笑みとともに、自分の誕生日のことを教えられた。

「・・・誕生日?」

「明後日。新一の誕生日でしょ?」

「あ、そう言えば。」

こうも器用に忘れられる新一がすごいと思うが、驚かすにはいいかもしれないと思って黙っていたのがいけないのかもしれない。

前々回は黙っていて誤解が発達したからだ。

「だから、今日から誕生日まで祝わせて。その間、一緒にいてくれる?」

「・・・嫌。」

嫌と言われて、かなりショックを受ける快斗。

たまにしか泊まることがないので、この間は泊まり込みで邪魔されないホテルか旅館に移動しようと思っていたし、新一ならいいと言ってくれると思ったのに。

しかし、次の言葉ですぐに快斗は復活することになる。

「俺は、誕生日までなんて嫌だからな。」

それは、その先も許してもらえたようで、自然と笑みが零れる。

「それは大丈夫。今もこれからも、ずっと新一が好きだから。離さないよ。」

「・・・うん。」

お隣さんにどこにいるかだけ伝え、三日間工藤邸から姿を消した二人。

その後日、正式に住人としてお隣へご挨拶に二人が姿を見せた。

 




 あとがき

気がつけば、地雷が10回目。
そして、11回目・・・。運がいいのか悲しいのか。
10回ということで、勝手に自分を励ましているようで補欠をほる李瀬からの贈りものです。
10回目の続きとなっております。前より甘くなった二人なのかな・・・?
よろしければどうぞ。



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