恋人同士になったあともいろいろあった しかし、今ではばかっぷるに変化したのであった そんな二人を良く知るお隣の少女は、呆れ果てるばかり 今日も二人は、仲良くいちゃついていたのでした しかし、新一の事に関しては心の狭い快斗にとっては、毎日気が気じゃありません そう。毎日新一以上に嫉妬ばかりして、最近はずっといらいらいしているのでした だって、最近やけに新一の周りにうろちょろするものがいるからです 大好き、そして愛してる 事件で呼ばれて今は家に居ない新一。 あの誤解が解けたことは良かったし、最近ではべたべたとくっつく日々が増えた。 そして、恥ずかしがりながらも、新一とのキスの回数も増えた。 まぁ、まだちょっと嫌がるので身体の関係はないが、幸せなので無理はしない。 しっかりと、頼んでおいて受け取ったあれ・・・指輪を渡した。 恥ずかしがってやっぱりつけてくれないが、首からは提げてくれているようなのでよしとしよう。 でも、いつかは指に嵌めてくれるといいなと思いながら、にやける日々を過ごしていたのだ。 しかし、最近やけに鬱陶しい者達の存在が目に付く。 それは、明らかに新一目当ての奴等。新一は気付いていないらしいが、必死になって心をつかもうと行動するそいつらが鬱陶しくてしょうがない。 そして、そんな奴等と一緒にいて、笑っている新一の顔を見ると、誰も知らない場所に閉じ込めてしまいたい衝動に駆られる。 ま、嫌われるのだけは嫌なのでしないが。 今日も、その一人、服部平次がこちらにきていて、現場が一緒だろうから、気になってしょうがない。 そして、同じ探偵で、一緒にいられる服部が羨ましくて嫉妬すると同時に、自分は怪盗であることに、悲しくなる。 最初は、本当に諦めようと思ったのだ。 新一も好きだといってくれてとてもうれしくて、だから余計に新一が嫌がることはしないようにと頑張ってきた。 それが前回では裏目にでたのだけれども。 おかげで今は、嫉妬心を抑えることがなくなったので、新一の周りが気になってしょうがない。 「あー、早く帰ってこないかなぁ。」 机の上でぐてっと伸びている快斗に声をかけるものがいた。 「そんなに暇なら、実験に付き合ってくれるかしら?」 「え?哀ちゃん。いや、俺はちょっと・・・。」 「そう、残念ね。」 「じゃぁ、西の黒い人連れてきてあげるから。」 「そう。・・・そろそろ、無茶する探偵さんのお迎えに行ってきたらどう?」 そういわれて、ならとさっさく用意を始める。 「しっかりと捕まえておいて頂戴ね。前みたいなことにならないように。」 「それは大丈夫。」 じゃぁ行ってくるねと哀を工藤邸に残して軽い足取りで警視庁へと向かうのだった。 「・・・暴走しなければいいのだけれどね。」 キスをしたり、べたべた抱きついたりはするようになったが、やっぱりまだ怖いということもあるし、そこまで新一が受け入れてくれるかどうかもわからなかったし、今は前よりは近づけたからしばらくはこれでいいだろうという結果で落ち着いている。 結果、また快斗は手を出しそうになる手を理性で押し留めて引っ込めている状態であった。 「・・・狼は守っているようで、最後には食べちゃうのよね。」 彼等が帰ってくる前に退散していようと、哀は戸締りをして帰り、地下へと篭るのだった。 もし、あの黒い男が何かしでかせばここへ快斗が届けてくれるだろうから。 「準備は整えておかないといけないものね。」 やる気は充分だった。 警視庁へ着いて、挨拶をしてさっさと中へと入る。 すでに新一と一緒にいるようになって、お迎えをすることで顔パスになっていたし、幼馴染とおじさんの関係で警戒されることもない。 しかし、今日は少し様子が違っていた。 「あ、高木さん。」 顔見知りの刑事を見つけて声をかけたが、なんだか様子が可笑しい。 「・・・新一に何か?」 以前、新一が怪我をした際に、新一が退室している間に、『彼等』に言ったのだ。 手を出されるのも、無闇に近づくのもやめてもらいたかったし、何より怪我までさせて快斗がぷっつんといったのだ。 今回は多めに見ますが、次はないと思って下さい、と。それはもう、キッドの気配になっていたと思うが、気にしない。 「正直に答えて下さい。・・・何があったんですか?」 普段はいい子の快斗だが、こうなった快斗は苦手以前に怖いという認識を持つ高木は泣きそうになりながら事の次第を伝えた。 事件は解決するはずだったが、服部が起こした行動で犯人が気付いて逃亡を図った。 取り押さえようとした服部を剥がし、隠し持っていたナイフを振り上げて向けた。それを、気付いて服部を追いかけていた新一が止め、頬を掠った。 その際にバランスを崩して倒れかけた新一を捕まえて現在も逃亡中ということ。 それで肝心の原因である服部はどこかと聞けば、医務室で擦りむいたところの手当てをしているとか。 しかも、犯人には完全に逃げられて、行方をくらまして手がかりもなくて困り果てていたところらしい。 「・・・へぇ。」 目が笑ってないよと、この場からすぐにでも逃げ出したい高木。 「大丈夫ですよ。俺が怒っているのは、勝手に行動して今回の事を引き起こしたあの男に対してですから。」 でも、もっと早くその現場に到着してほしかったですけどねと、とげとげした物言いをされて、逃げたいと泣きそうになる高木を横目に、必死に怒りを静めようとしていた快斗。 冷静にならないといけない。考えないといけない。 今、新一がいる場所は、もしもの時のために携帯に取り付けた発信機でわかるはず。 「・・・新一のところへ・・・犯人のところへは俺が行きますから。・・・着いてこないで下さいね?」 にっこりと微笑まれても、怖いだけ。 「着いて来ても、呼ぶまでは出てこないで下さいね。」 そう言って、高木に背を向けて入り口へと向かう。そしてすぐに服部がここまで乗ってくるのに使ったのであろうバイクに乗る。キーは挿してあるので問題ない。 固まっていたのが戻ったらしい高木は入り口まで慌ててきていたが、すでに快斗はバイクで走り去った後だった。 快斗には場所がわかったのだと思って、高木は急いで無線で連絡を入れる。 快斗が加わる事で、事件は大きく動こうとしていた。 まったく。なんということだ。 こんな時、体力がなく、力の弱い自分が悔しい。 連れてこられたのは、あるホテル。思っていた通り、もう一人の共犯者がいたのだ。それがここにいた。 しかし、逃げる事もできない自分の状況では、悔しくてしょうがない。 これで全て揃ったのに。やはりあの男はその共犯者と繋がりがあるのだとわかったのに。 ホテルに入る際に、毛布に包まれて、荷物のように担がれて連れてこられた。 今の時間はそんなに人が通らないし、受付も丁度奥へと離れている時だったので見られる事はない。 両手は後ろで縛られて、足も逃げられないように縛られてしまった。 最初は手だけであったが、共犯者が『知っていた』為に足まで縛られたのだ。もちろん、抵抗はした。 しかし、大人の男二人がかりでやられては抵抗も無意味だ。 よって、足を取られてちょうど背後にあったベッドの上で寝転がっている状態である。 今は共犯者と共にこの部屋にはいないが、すぐに戻ってくるだろう。ここに荷物を置いたままなのだから。 カチャリ――― 新一をここまで連れてきた男が部屋に入ってきた。その背後には、新一の事を知っていて足の自由を奪った共犯者の男がいた。 「噂や写真で見るよりは、綺麗な顔だな。」 近づいてきてベッドの端に座り、新一の顎に手をかける。 抵抗しても無駄なのは承知の上なので、今は大人しくしているが、細められた目が男を睨みつける。 「くくく・・・いいね。その目。」 耳障りな笑い声を上げる男。顎にかけていた手を首元へ移動し、横向きの新一の身体を押し倒し、上から見下ろす。 「・・・殺すのはこれ以上俺たちにとっても危ないんでね。あんたには、別の場所へ行ってもらうよ。」 警察へ二度といけない場所へ。 「高く売れるだろうな。顔も、肌も綺麗だからな。」 そう言って、第二ボタンまで外す。そこから見える白い肌。 「少しだけ、味見させてもらおうか。」 さすがに状況が理解できた新一は、必死になって身体をくねらせて、後ろに縛られた腕を外そうとする。だが、そんなに簡単に縄が解けるはずもない。 「駄目だぜ。せっかくの肌に傷がいったら価値が下がるだろ。」 ぐっと、首に添えた手に力を入れた。抵抗する為の手は使えず、息が出来なくなる状況で苦しみを味わう。 手が緩められ、急に空気が喉を通れば、それによって咳き込み、抵抗する力を削がれたその状態に満足したらしい相手は、続きをしようと手を伸ばす。 「・・・ほどほどにしておけよ。そいつを売った金で逃亡するんだからな。」 「わかってるよ。」 男言った言葉に適当に応える男。 「大人しくなってくれたことだしな。」 新一の首筋に顔を近づけたときだった。 サ―――― 背後から何かの気配がした。 はっと振り返る男。近くにいたもう一人の男も同様にだ。だが、そこには誰もいないし何も変わりない。 なんだと、視線を戻して気付いた。ドアの方ではなく、窓の方にいるものを。 「ど、どうしてだ?!」 そこには、新一と似ている少年がいた。顔はにっこりしているが、男にはわかる。少しも笑っていない事と、纏うこの冷たい殺気を。 「貴様・・・。何者だ・・・?!」 少なからず、素人ではないということは二人ともわかっていた。何せ、ここは一階やまして二階でもない。6階のホテルの部屋なのだ。入り口はカギがかかっている。窓もだ。 それなのに、この男はどこから入ってきたのか。 「ねぇ・・・その汚い手。新一から放してくれない?」 「な、言わせておけば!」 見つかったことで少なからず動揺していたらしい。それでなくても、今日は探偵に見つかったのだ。まぁ、別の逃げ道を作ったが。 それなのに、こんな少年ごときにと、男は殴りかかった。 しかし、快斗はそんな男に怯む事も逃げる事もなく、すっとかわして背後から蹴りを入れた。 見事にヒットし、 男はその場に崩れる。 それを見ていた男も、新一どころではないと、快斗の始末にかかろうとする。 「・・・遅いよ・・・?ねぇ、あんたは許さないよ。あの男以上にね。」 確かに新一を傷つけたけど、その汚い手で触れたお前の方が罪は重い。 胸倉をつかんで放り投げた。 だが、相手もそれなりに危ない橋を渡ってきた男である。すぐに体制を整えて飛び掛る。 しかし、真っ向から快斗も相手をいして、見事鳩尾に一発入れ、足をかけてバランスを崩させ、足で男の身体を踏みつける。 そのまま姿勢を下ろして男の後頭部をつかむ。 「・・・っ・・・おのれ・・・っ!」 「まだ、元気みたいだね。」 なら、お仕置きの続き出来るねとにっこりと笑顔を見せる快斗に、なんとか立ち上がろうと最初に快斗に蹴り飛ばされた男がこの光景を見て、怯えて震えだす。 「逃がさないよ・・・?」 逃げようと必死に快斗から離れようとする男。 「やめろ、快斗っ!」 本気で骨が折れたのではないかというぐらい、見事な音がした。 新一の声が届き、その方へ顔を向ける快斗。 「快斗。」 「大丈夫だった、新一。」 怪我はない?と動かない男に一切興味を見せず、新一を心配する。それは、新一がよく知る普段の彼と似ている。しかし、どこか違っていた。 暴れた拍子に食い込んだ縛る縄。外せば紅くなった腕が痛々しい。 「痛い?」 「大丈夫。」 優しく触れ、新一の身体を起こす。 新一の身体を抱き上げて、振り返って二人の男を見下ろす。 「・・・俺としては、お前達は消えてほしいけど。新一が望まないから、命だけは見逃してやる。・・・次はないけどね。」 覚えておいてね。たぶん会うことはないだろうけど。そう言って快斗は部屋をあとにした。 誰とも会わないように非常階段を利用して下へと降りる。 賑やかなサイレンの音が聞こえるから、たぶん来ている。来る前にこの場所はメールで高木に教えてあるし、先ほど来てもよいと用意しておいたメールを送信しておいた。 だから今頃捕まっているだろう。 ま、俺の事を言っても、警察は聞かないだろうし。 「帰ろうね。」 服部のバイクは気にせず置き去りにして、タクシーを拾って家に帰った。 途中、恥ずかしいと少しの抵抗を見せていたが、疲れたらしい新一は今、眠っている。 家の前まで来て、料金を払って家の中に入った。 静かな家の中。まっすぐ、新一を休めるために部屋へと向かう。 ベッドの上に寝かせると、薄っすらと開いた新一の目。まだ眠そうでとろんとしている。 「かぃ・・・と・・・。」 「何?どうしたの?」 近くに寄って話を聞く。 「ありがとな。」 「いえいえ。」 頭を撫でると、普段は怒るけれど今日は布団の中に引っ込むだけ。 「じゃ、おやすみ。」 そう言って快斗は離れようとした。それを止める手があった。 「新一?」 「行くのか?」 不安そうに、しゅんとしている新一。今にも手を出しそうになっているのに、しかもあんな光景を見れば余計に理性が危ないというのに。どうしようと本気で悩む快斗。 でも、我慢して抑えないと決めたしと思い立って、新一の側に戻る。 「寝るまでいてあげるからさ。」 「・・・一緒には駄目なのか?」 「・・・あの、新一?」 お誘いなのだろうか。でも、あんなことになっていたのだから、嫌なのではと思ったが、新一が好きなようにさせておこうと、とりあえず誘われるがままに、新一と同じ布団の中に入る。 いくら広いベッドであっても、男が二人寝れるようなスペースがそれほどあるわけではない。 なので、必然的に密着する状況なのである。 うれしいようで、辛いような・・・。 ぎゅっと、快斗の服を攫んで放さない。 「大丈夫。側にいるから。」 ねっと、額にキスを一つ。しかし、寝る気配がまったくない新一。 「なあ。」 「何?」 「駄目だぞ。」 「・・・何が?」 言いたい事について、なんとなく想像はついたが、聞き返す快斗。 「殺す気でいただろ。」 「・・・否定はしないね。」 「・・・駄目だからな。」 「それは、新一次第だね。」 新一に手を出す奴は全て嫌いだ。幼馴染であっても、好感を持てるお隣の少女であっても。 本当なら、新一は自分の手の内へ、誰の目にも届かぬところへ閉じ込めてしまいたいぐらいなのだ。 そうすると新一が悲しむし、嫌がるだろうからしないけれど。 「お前が傷つくのも、俺は嫌なんだ。」 「俺は新一が傷つくのを見てられないんだよ。」 「でも、お前。」 犯人に怪我を負わせたのはいけないけれど、大事な手を使った。そして、自分を助けてくれたことはうれしいけれど、負担にはなりたくない。 それでなくても、危ない橋を渡っているのだ。これ以上の負担は駄目だ。 「いいの。いつも側にいて、守りたいと思ってるんだから。この前みたいに、新一が離れて行かないように、こうやってしっかりと捕まえておいてさ。」 新一の身体を抱きこむあたたかい腕。 「本当に悲しかったんだからね。」 「ごめん。」 あの後、哀にもどうしてそんなこと考えられるのか不思議ねと言われてしまった。 ほっとしたと同時に、大嫌いと言ってしまった事が今も心に引っかかっている。 本当なら、あのまま快斗は行ってしまうかもしれなかったのだ。 まだ自分を好きだと言ってくれるけれど、信じきれないところがある。 確かに優しいし、大事にしてくれるし、何の問題もない。 でも、人から聞く快斗と違うところがある。別に抱かれるということが愛情表現ではないと思うけれど、あれだけ幼馴染の彼女が言うのだ。 やっぱり男は駄目なのかなと、また不安になってくる。 散々嫌な女にも見えてしまうこの体や顔ならば、いっそのこと女に生まれればと考えて頭からこの考えを放り出す。 仮定であって、それが現実になることなんてないし、考えるだけむなしくなるだけだ。 「また、何か悩んでる?」 「・・・。」 「もしかして、また疑ってる?」 俺が、新一以外の誰かを好きだということを。 「そんなことない。」 「本当?新一だけなんだよ?好きなのは。側にいたくて、いてほしいと思うのは。こうやって、抱きしめたいと思うのも、キスしたくなるのもね。」 その顔は反則だ。新一は紅くなる顔を隠すために快斗の胸の中に逃げる。 そんな新一に可愛いなと思いながら、新一の背中へとまわしていた片方の腕を新一の髪へと移動させ、その黒い髪に触れる。 さらりと指からすり抜けるそれ。 「もう、寝よう。体休めないとね。」 それとと、快斗はつけたす。それは、服部平次のこと。 「あまり、近づかないでね。」 「どうしてだ?」 「一緒にいるところを見ると、辛いんだよ。俺は心が狭いからね。」 嫉妬で心が燃えて焦げたら新一のせいだからねと言う。 「俺も。嫌だぞ。・・・白馬は良い奴だけど。」 「はぁ?なんでまた白馬?」 あんなのと仲がいいなんてありえない。そもそも、あっちが突っかかってきて迷惑しているのだ。 「仲良いだろ?」 「なんでそう思うのかなぁ?・・・あのね、俺はあいつ嫌いなの。わかった?」 「・・・でも、白馬。」 「あれは関係ない。」 あってたまるか。そもそも、新一目当てで近づいてくる男だ。油断ならない。 「だから、新一が心配する事はないし。俺は新一一筋だよ。愛してる。」 好きなのは、愛しているのは新一だけ。その言葉を今は信じていよう。 この先がどうなるかわからないけれど。 返事の代わりに、快斗の顔を見て、どうしたのと顔が近くなった時に、新一から答えの代わりに頬にキスをした。 その後はもちろん顔をみてられないから、再び快斗の胸へと顔を向けて隠れた。 そうやって、しばらくじゃれながら眠りにつき、朝を迎えるのだった。 もちろん、昨日の事を知っているお隣さんが様子を見に来ていた。 しかし、気持ち良さそうに寝ている二人を起こすのはできず、こっそりと帰ったことは二人は知らない。 |