神と魔王 天使と悪魔 ただ、羽根の色が違うだけで争いあう 今日もまた一人 天界と魔界から天使と悪魔が人間界へと舞い降りた 天使は悪魔の浄化を 悪魔は天使の狩りを 人に紛れた者達を騙しあって消しあう 今日もまた一人、消え 神は悲しみくれ 魔王は苛立つ 狩り その日、舞い降りた二つの光。一つは天使、一つは悪魔。 どちらも神と魔王が一番大事にし、能力や技量を信頼している二人が、人間界に降りてきた。 その情報はどちらにも流れ、とうとう、最終段階に入ったのだとどちらもが思った。 その二人次第で、神と魔王が危うくなったり優位になったりするからだ。 ある意味、最後の賭けのようなものだったのかもしれない。 それぞれお互いを狩る、浄化する力を持つ二人。 簡単には他の天使や悪魔に存在を知られない。人の中に紛れたらわからない。 それ故に、彼等によって多くの天使と悪魔が人間界から姿を消した。 それから五年の月日が流れた。 とうとう、天使と悪魔が出会った。 きっかけは、とても簡単。偶然と言う名のいたずら。 もしかしたら、それも全て必然だったのかもしれないが、今は誰もわからない。 通学途中、事件現場を見かけ、そこに高校生探偵が姿を見せていた。 今日も忙しいねぇと暢気に思いながら、次の仕事を考える黒羽快斗。 彼は、ここへ来て天使を狩るのが仕事であると同時に、神を倒す力の源ともなるパンドラという名の魔石を探すという二つの仕事をかせられている。 それ故に事件や事故などの情報は多く取り入れ、天使の気配があれば、近くに悪魔の気配がなければ狩りを実行し、可能性のある宝石と言う名でどこかにある魔石を見つけては盗みを行う。 それの繰り返しだったが、はじめて生で見た探偵、工藤新一に目がいく。 自然と彼を追いかける。何かが、彼に捕らわれたような感じ。 だが、少しだけ天使の気配が、それもかなり強く、自分ぐらいでなければ嗅ぎ取れないほどのもので、見つけなければとその場を少し離れた。 もしかしたら、その気配の主こそが、魔王が言っていた最後の切り札とも言うべき神に近い天使。 その天使さえこちらが先にどうにかすれば、この争いに終止符を打つことが出来るかもしれないということらしい。 別に快斗にとってはどうでもいいことだが、魔界にさっさと戻れて普通に日常を過ごせたらそれでいいと考える快斗は早く終わらせ帰るために天使を狩ってきた。 あまりよいこととは思えないけれど、このどろどろとした人間界にはあまりいたいと思えないから。 魔界の方が、まだ居心地がよいと思えるぐらい、ここは汚れきっている。 それを守るという神の気が知れないと思いながら、周辺を歩いていた。 すると、反対側の道を走る探偵の姿があった。 少しだけどこへ行くのだろうかと興味がわき、こっそりついていくことにした快斗。 だって、あの事件は終わったようなのに、どうして彼がそんなにも血相を変えて走っているのか。 もし事件があれば、警察も一緒に動いているだろう。 それがないということは、言えないことか・・・。 純粋に興味がわいたのだ。ただそれだけ。 どうして興味がわいたのかは自分でもわからないけれど。 だって、何に対してもあまり興味を持つ事がなかったから、少し自分自身でも驚きながら。 そして、知る事になる。 「お前が、本当の元凶だな。」 その言葉に、快斗はどう言うことだと思いながら、様子を伺った。 「ふふふ。わかるのか?たかだか人間の分際で。まぁ、うまそうだから、喰って勘弁してやるよ。」 そう言って、襲い掛かる男。いや、正確には下級悪魔。すぐに気付いた快斗は慌てる。このままでは上級悪魔ですら、ほしいと思うほどの力を持つ珍しい人間だ。 人の姿に化け、人をよからぬ方へと導き、血肉や魂を喰らっている。それが悪魔なのだ。 新一はそんな悪魔達にとっては格好の獲物であり、そんなにはない強い気と清らかな気を持つ、特上の獲物。 襲い掛かる悪魔の存在に気付き、快斗は助けようと力を使おうとした。だが、それはいらぬ心配であった。 「悪いが、帰ってもまた来られては迷惑だから、浄化されてくれ。」 向かってくる悪魔の方へ手のひらを向け、一言言葉を発する。 それと同時に悪魔は強い光に包まれ、空から降りる雷のような光に叫び声を上げ、その場所から跡形もなく消え去った。 その後、何事もなく新一は立ち去り、刑事と合流した。 だが、快斗は少し同様が隠せなかった。冷静さがかけてしまっているから、今の快斗の背後を取るのは簡単かもしれない。 出会ってしまったのだ。目的の人物に。 自分が気になる人間。それが、敵である天使だったのだ。 「なんでだよ。」 このままでは、自分は彼を狩らなければいけない。 快斗は悩んだまま家に帰ることになる。 それが、全てのはじまり。
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