その頃、その後、そして… 怪盗はクリスマスの予定へ向けて準備していた時、探偵が自宅にいないことを知った。 「どうしたんだろ?」 だが、怪盗にとっても苦手で対処に困る彼の両親や西からくると噂の探偵が来ることを思うと、あのマンションにいる方が訪問しやすいかもしれないと、すぐに考えるのをやめた。 「それで、今晩は彼のところへ行くのかしら?」 「ああ。だから、お前のとこのパーティにはいかねぇからな。」 少しだけ黙った紅子。毎度怪盗であることを否定するのが面倒になったので、適当に会話すると向こうからも言わなくなったので現状維持になっている。 最近、楽しい知り合いができたと言っていたが、きっとろくな奴ではないに決まっている。そう思っていた怪盗は知らない。実は探偵の隣の家の少女こそが、この女の新しい楽しい知り合いであることに。 「私は行くわ。貴方も気を付けなさい。…そうね、彼に嫌われないように、ね。」 意味深な笑みを浮かべ、去っていく女。嫌われるようなことはしないと少しむっとしながらも、作業を続け、当日、怪盗の仕事の時間がやってきた。 その後会った変わらない探偵にほっとして、嫌われない様にと嫌なことを言ってのけた女に、問題ないしと心の中で文句を言う。 だが、怪盗は気付いてなかった。次は絶対全員いないクリスマスを過ごすという探偵の決意に。 「あ、服部君。和葉ちゃんもいらっしゃい。」 「今日はありがとうな。呼んでくれて。」 怪盗が逃げた後、パーティに呼ばれた二人は、中に通される。 「でも、良かったん?蘭ちゃんこそ、…ほら、新一君。」 「ああ、あいついね。こういう日はいろいろ面倒だからって引っ込んじゃったんだ。」 「そうなんや。」 そうやって、過ごすクリスマス。あと少しだと後ろで悔しがる探偵二人。 まさか、今回参加していない探偵の家に怪盗が押し入っているなんて気づきもせず。 「そうだ。お正月は一緒にお参りいかない?それとも、やっぱり向こうで?」 「挨拶まわりあるけど、蘭ちゃんともお参りいきたいわ。」 「じゃ、この日とかどう?」 「わかった。予定あけとく。平次もつれていくから。」 「じゃあ、私は新一ちゃんと呼び出しておくね。」 計画される女の子のお出かけ予定。 「遅かったな。」 「あら、私は時間までには来てるじゃない?」 「…次の仕事だ。」 「年明けから、物騒なのは嫌よ?」 そう言って、女が受け取る仕事内容。クスリと笑い、跡形もなく燃えて消えるそれ。 「了解。また、ずいぶん気の長い計画ね。」 「貴方も正月ぐらい殺しやめて、違うことをしたらどうなのかしら?」 「…仕事はこなす。それだけだ。」 そう言って、立ち去る車。女はもう一度、先日会った青年のことを思い出す。 「今年の見納めどころか、来年も、しばらく会いそうにないわね。」 女もまた、その場から立ち去り、そこは静寂の中へと戻った。 |