白い怪盗と過ごすクリスマス 新刊、事件、風邪…と、あっというまに過ぎた日々。 「で、結局どうなったのかしら?」 「何がだよ。」 「もう忘れたの?24日のことよ。怪盗さんが派手なパフォーマンスをする日。」 「ああ。」 忙しくめぐる日々で忘れかけていたこと。聞いたら怪盗が泣きそうなことだが、新一には関係ない。 「蘭は断って、予想通り、園子と騒ぐパーティみたいだしな。警察には呼ばれたけど、他に事件があると言って丁重に断ったから、予告で出ることになることはないな。服部は来るみたいだが、むしろ服部のおかげで俺の出る幕がなくなったしな。」 服部と毛利小五郎の探偵二人と、中森警部。来るつもりだが、これない可能性もある白馬探偵。 これだけそろえば、警察も無理に新一を呼び出すこともない。 「そう言えば、お前こそどうするんだ?」 「そうね。」 「怪盗のせいで、見に行きたいって探偵団の連中が言ったせいで、出かける予定が変わったんだろ?」 「ええ。本当に憎たらしいわ。次あったら殺してやろうかしらと思うぐらいにはね。」 少しだけ、怪盗に頑張れとエールを送りたくなる新一だった。 「さて、とりあえず、熱を測ってちょうだい。」 「大丈夫だって。」 「私は医者として言ってるの。つべこべ言わず測りなさい。」 「へいへい。」 先日まででていた熱。もちろん、新刊と事件によって寝不足と食べないことで起こった為に滅茶苦茶怒られる羽目になったのも過去のこと。 下がって数日。まだ何があるかわらかないからという理由から熱を測る為にやってくる隣の少女。 「あ、そうだ。」 「何?」 「まだあるんだ。」 何がと言いかけて、ああ、と少女も思い出す。隠れ家のように利用していたマンションの一室。確かに西の高校生探偵も新一の両親も怪盗も知っている。 だが、当日にこっちへくるつもりで、向こうには今ほとんどいないとわかっている状態で、向こうにいたら邪魔されることは格段に減る。 「だろ?せっかくだし、博士も誘ってパーティでもするか?」 「ダメね。博士はあの子たちと一緒に鈴木さんに呼ばれているもの。」 私は他に用があるといって断ったけどねというので、とりあえず当日は二人で過ごすことにした。 もし誰かきたのなら、それはそれで対応すればいい。そういう結論だ。 「なら、明日にいろいろ持ち込んでおくか。」 「そうね。大分使ってないから、少しだけ掃除する必要があるかもね。」 「いざって時の為に、中の確認も大事だしな。」 そんなこんなで決まった当日の予定。テレビから怪盗のショーを見ながらディナーにするかと、予定を決めた二人。 これが、怪盗の突撃を受ける10日前の出来事である。 |