死神の日記その3 本日、夜の仕事にて白い奴が怪我をした。もちろん、お隣さんは怒るし、新一は黙って部屋を出て行くほど怒っていた。 ここまで怒った理由は、怪我を黙っていたことと、その日何も連絡をいれなかったからである。 心配かけまいとしているが、かえって連絡がないほうが心配させるというのに、アイツも馬鹿である。 そもそも、アイツは新一馬鹿になりすぎて、自分のことを忘れているのかもしれない。 何せ、怪我をして連絡が一切なかったその日、アイツの誕生日だったからである。 あまり新一を放ったらかしにしていると、横からいただこうかと思う。 まぁ、実行はしないが。 それにしても、落ち込んでいても鬱陶しいが、怒らせても鬱陶しい快斗の存在に、やはり浮かれさせて新一の側に置いておくのが一番平和だと思う。 二人が怒っているということで、家の出入り及び、付近1キロ以内に近づくなとお隣さんに脅された快斗。 情けない顔をしながら、凹みまくっている。それはもう、キッドファンや彼のマジシャンとしての才能を知っているファンには見せられないほどの落ち込みようである。 そんな彼をふよふよ浮かんで見守っている俺は暇なのかもしれないけれど。 「いつまでやってるつもりだ?」 「・・・放っておいてよ。」 「そういうわけにはいかん。今のお前だったら子どもでも殺せるからな。」 そうなれば、悲しむのは誰だか一番わかっているはずだろうと言えば、彼は黙った。 一度、彼も身を持って経験しているからだ。立場が逆であるけれど、二度と味わいたくないし、味あわせたくはないと思っていることだろう。 「快斗。お前は本当に新一が怒っている理由をわかってるのか?」 「怪我したこと黙ってたこと。連絡入れなかったこと・・・。」 「確かにそれも理由だが、1ヶ月前に新一はお前に約束したことがあっただろう?」 「約束?」 新一のことなら忘れないとして、頭をフル活動して1ヶ月前を振り返る快斗。 先月あったことは、いろいろある。けれど、一番といえば新一の誕生日である。そう、誕生日。その単語から思い出される約束に、快斗は真っ青になった。 「どうしよう?!新ちゃんが祝ってくれるはずだったのに!」 その為に休み明けから幼馴染やクラスメイトに誕生日会は今年は新一と一緒にすると散々言ったではないか。 というか、誕生日というより新一がしてくれるはずだったお祝いを忘れていたことに真っ青だ。 「やっぱ、馬鹿だろ。あの日、せっかく新一お手製料理とケーキがあったんだがな。」 「何っ?!」 「連絡ないし、キッド関連で何かあったんだろかって不安になるし。あ、俺とお隣さんと新一と警察の方々が料理は全部おいしくいただいたけどな。」 「食べるなよ!勿体無い!」 「残すほうが勿体無いぞ?」 「お前が食べる方が問題ありだ!」 うわ〜ん、新一の手料理が〜と先ほどより一層落ち込んでしまった快斗。しばらく再起不能のままでいそうである。 それからさらに数日後。 遅れながらも、簡単にパーティをして仲直りしたのはまた別のお話。 しかし、仲良くしている次の日の休み。 突然の警察からのお呼び出しにより、恋人を奪われた怪盗が切れるのも、また別のお話。
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