その後の魔女と科学者の会話
「それにしても、日々見ていて嫌になるわね。」 工藤邸に現れた紅子と志保に珈琲を出した後、相変わらず本人達は周りから見ればばかっぷると呼ぶに相応しい甘い二人の世界を作っていた。 といっても、まだ完全にカップルというような関係にはなっていないのだが・・・。それがまた、二人にとっては不思議でしょうがなかった。 「見るからに、あの二人は工藤君が好きで、工藤君も二人・・・もとは一人だけれども、好きだと態度で示しているわよね。」 「いい加減、はやくくっつけばいいのに・・・。」 そうはいっても、なかなか進展があるようでないこの三人。 くっついていないという方が、そしてあの二人が理性を押し留めているというのが、この様子やあの二人を知る者なら驚き、ありえないと思う事だろう。 「そういえば、志保。ルシファー様から、新たに予言をもらったの。」 「それは、どんなものなのかしら?」 紅子が言うのだから、新一に関係する事だろう。そうでなければ、こうまでも真剣に、そしてわざわざここまで来て予言を残しに来たりはしないだろう。 実は、本来の目的は志保に予言の事を伝える為に、工藤邸へと来ていたのだった。 「闇の衣を纏う使者が現れ、光が気付く。」 闇とは、出来れば聞きたくない単語だろう。志保もそして怪盗KIDももともと闇に属していた者だからだ。 だが、今は違う。新一という光の側にいることによって、闇から光の世界へと戻ってきたのだ。 そして、それは紅子も同じ。 「彼に何かするようなら、その時は容赦しないわ。」 「そのつもり。だけど、気になるのが光が気付くというところね。いったい、彼は何に気付くのかしらね?」 かなりの可能性で、それは二人にはわかる。 「その事に関しては、どうなるのかが少し楽しみね。」 「少し、勿体無い気もするけれど・・・。」 だけど、あの彼等だからこそ、彼を捉える事が出来るのかもしれないけれど。」 その後、あの西の彼がそろそろ動いてこちらへ来るという情報も、しっかりと志保に伝え、何やら怒らせたのか、二人は蹴り飛ばされてシンイチはリビングから出て行った。それを、情けなくも追いかける二人の姿が見えた。 きっと、自分達の存在など、すでに眼中にはないのだろう。 「こんなにわかりやすいのに、どうしてかしらね?」 まぁ、彼等には彼等なりにいろいろ葛藤などがあるのだろうが。見ているこっちは面白い時もあれば鬱陶しいときもある。 「そろそろ、帰るわ。」 じいや達が心配するからと、紅子はリビングを出て行った。 志保もその後、残った珈琲を飲んで、二階で騒いでいる彼等の声を階段の前から聞いて、当分は無理そうだと判断し、紙にメモを残して隣へと帰っていった。
そのメモに気付き、慌てる快斗とキッドの姿があったらしい。 そして、そのメモの内容はわからないが、だいたい、想像できるだろう。 その後彼等の運命がどうなったのかは、本人達のみが知る・・・。
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