ぽかぽかと、暖かい日差しに包まれて・・・


のんびり昼寝をしていた一匹の悪魔のもとへ、今日もこっそり抜け出して現れる双子天使

まだ、神の座に立っていないので、彼等は天使

そして彼もまた、魔王の座に立っていないので、悪魔

そんな彼等は、今日も天界と魔界の間に設けられた、宮殿の庭でくつろぐのだった

 

 

 

   双子天使と悪魔のある日

 

 

 

珍しく、彼、シンイチは本を読んでおらず、本を持ったまま樹にもたれかかって眠っていた。

「可愛い〜。」

寝顔を見て二人の天使、キッドとカイトが目を輝かせる。それと同時に、こんなに無防備な姿を簡単にさらさないでほしいと願う。

いつ、不埒な輩が出るかわからない。

ちなみに、一番有力候補として挙げられる不埒な輩とはキッドとカイトであるが、シンイチ自身が気にしていないし、マコトもまた彼等を認めたので、今のところは問題はない。

まぁ、この後が問題というものだが・・・。

さて、ここにいる三人はそれぞれ天界と魔界の時代のトップに立つ者達である。

にもかかわらず、会議が面倒だと言い、相変わらず抜け出す始末。

今頃、キッドとカイトを探す部下達がいるだろう。

シンイチはいつもここにいるとわかっているので、マコトは慌てることはないし、キッドとカイトが来ないとなれば間違いなくシンイチの側にいるだろう。

あれでもそれなりの実力があるだろうから、簡単な護衛にはなるだろうという判断である。

さて、抜け出した二人の天使を探す為にあたふたしている相手側。

自分も、いつまでもはじまらないこの会議の席にいるよりも、主のシンイチの側にいるほうが、落ち着くと思える日々。

はやく終わる事を願いつつ、今日の会議の資料を読み返ししていた。

 


 


なんだか、重い気がする・・・。

せっかく気持ちよく寝ているというのに、いったい何なんだと、少し不機嫌に眼を覚ましてあたりを見る新一。

「・・・原因はこれか・・・。」

自分の左にカイト、右にキッド。膝の上と右肩に二人はいた。

最初は不機嫌だったが、彼等の幸せそうな寝顔を見れば、怒る気も失せた。

「ったく、何しにいつもここへ来てるんだか・・・。」

さぼるにしても、わざわざ悪魔のいるばしょへ来て、こんな無防備に寝ていていいものかと思う。

「俺が、悪い奴だったら、どうするつもりなんだよ。」

ありえないことだが、ありえるかもしれない事。だが、きっと彼等も強いものを持つから、わかるのかもしれない。

自分が、寝ていて彼等の気配に気付いて起きる事がなかったように。

「あと、数分で終わるな・・・。」

終われば、すぐにマコトが迎えに来る事だろう。この二人の向かえもまた、来るだろう。

「この前のお菓子のお返し、何にするかなぁ?」

もらいっぱなしなのは、あまりよくないとマコトに言われている。真意は、それによって餌付けされるなというところだが、シンイチはわかっていない。

だが、もらった事がうれしかったのか、お返しはどうしようかなと、楽しそうな顔で考えてるのを見れば、マコトもわざわざ言う事はない。

マコトに今度、何かお菓子の作り方を教わろうかなと考えていた頃、噂の人物、マコトがこちらへと飛んできた。

それと同時に気付いたのか、二人は眼を覚ました。

二人はあれっといった感じでシンイチを見ていた。そりゃそうだ。シンイチが起きた事に気付かなかったということに驚いた。

彼等は、人の気配に人一倍敏感であったから。それはシンイチも同じだが、その安心感がどこから来るのかは、まだ三人とも気付いていない。

 

 

 

さぁ、今日もお茶会をしましょうか。

おいしいお菓子とお茶を用意して。

木漏れ日の中、彼等は楽しく話をしながら時間を過ごす。

 





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