新(蒼)「なんか、足りない」
快(蒼)「何が?(冷汗)」
べったりとくっつかれたまま、冷や汗ダリダリ。
伸びた腕はしっかりと抱き締めていますが。
新(蒼)「ムーう?」
むくっと立ち上がり、外に向かう新一。
快(蒼)「新一!駄目駄目!!熱があるんだから!!」
新(蒼)「でも〜!来るの〜!なんか来る〜!」
快(蒼)「なんか?」

新(翼)「っ!!」


がばっ


ぐいっ!


快(翼)「あいた!」
キ(翼)「新一?」
突然起き上がって両方に抱きついてきた新一。
新(翼)「っふにゃっ」
キ(翼)「し、新一!」
快(翼)「うわわわわ泣かないで〜(汗)どうしたの!?」
新(翼)「な、何か来るようぅうっえっえぅっ快斗ぅ、キッドォ、怖いようっふうぅぅう」
快(翼)「なにか?」
キ(翼)「来る?」
ボロボロ涙を零す新一を慰めながら、顔を見合わせる二人。
そのとき、バタンと扉が開かれた。
快(蒼)「そこの羽トリオ!ちょっといいか!?」
快(翼)「何だそれ羽トリオ?」
キ(翼)「せめてノックくらいして下さい、無作法な」
快(蒼)「悪い!でもなんか新一がおかしくてっ」
新(蒼)「うわひでぇ快斗!俺おかしくなんかないぞ!むう、んなこと言う奴には抱きついてやるV
快(蒼)「っだぁあっ罰といえば罰だ!とてつもなく嬉しいけど、今は理性と戦っている暇はないんだって!」
なんだか目の前ですごくうらやましいことが繰り広げられている
新(翼)「ふえっ」
新(蒼)「だから、なんか来るんだって!ここ探してる!」
快・キ(翼)「「え?」」
新(翼)「なんか足りなくてさ〜快斗に抱きついてりゃそうでもない気もするけどさぁなんか、一致しない何かがこうん〜」
快(蒼)「何を言ってるんだかわからねぇけど(照)もしかしてこの疫病の菌ってさ、ついた人間をつれてく習性とか、ないよな?」
目印をつけて攫っていく何かとか、よくあるじゃんか。
そういった快斗の言葉に、顔を見合わせる二人と、なんだかすごく泣きそうな新一。
そなの?

 

 

 

そこへ、突如現れる人。
新(蒼)「うにゅ〜。蘭の・・・英理さんだ・・・。」
快斗にくっついて甘えている新一を今は無視をして・・・。
英(翼)「言われていた情報を探してみたところ、一つ見つかりました。」
キ(翼)「それで?」
英(翼)「どうやら、かつての昔、この館に守護神が居られた頃、守護神にかかった高熱の例がありました。」
快(翼)「それって、やっぱり奴等の仕業?」
英(翼)「そうかと思われます。奴等、彼を狙っての事かと思われます。それ故に、似ている新一様にも同じような症状が出たのかと思われます。」
キ(翼)「嫌な予感どおり、というわけですか。」
快(翼)「そして、持つ力を判断して、そちらはこちらよりも軽い、というわけですね。」
さらにそこへ現れる人がいる。
紅(翼)「まずい事になったわ。」
快(翼)「どうしたんだ?」
紅(翼)「第四階級はほぼ全滅よ。たぶん、守りを壊す為に弱いものに対しても効くようにと、新たに何らかの成分が菌に含まれている可能性があるわ。」
新(翼)「ふぇ・・・。一人にしないでぇ、怖いよぅ・・・。」
うるうると見上げる新一。
キ(翼)「いろんな意味で困りましたね・・・(汗)」
その間にも、同じようにべたべたしている二人がいるが、今はそれどころではない。
キ(翼)「志保達に看護を。紅子達はお客の方をお願いします。」
快(翼)「わかってるって。ちょっと様子見てくるよ。・・・行くよ、真。」
真(翼)「おおせのままに・・・。」
現れて去っていく。忙しい奴等だと他人事のように観察する快斗(蒼)
新(蒼)「むっ。余所見とはいい度胸だな、快斗〜!!」
快(蒼)「うわっ、ちょ、新一?!」
紅(翼)「馬鹿をやるのは部屋にいってからにして頂戴。ほら、行くわよ。」
二人の腕をつかんで部屋から消えた。
キ(翼)「さて。どうしたものでしょう。」
新(翼)「キッド〜。来るよ〜。」
そうとう、過去にも酷い眼にあったのかもしれない。
そう思うと、絶対に許せないなと思う。その迫ってくる原因に対して・・・。

 

 

 

紅(翼)「あなた達はここから出ては駄目よ」
快(蒼)「言われなくても出ないって」
新(蒼)「ん〜V
快斗にべったりな新一。
それを見てため息をつく紅子。
紅(翼)「それにしても、弱い奴はかかる菌なのにあなたは平気なのね強いのかしら。それとも彼らと似ているから?」
快(翼)「あの羽トリオは強いのか?って、トップだし当たり前か」
紅(翼)「
羽トリオの辺りに顔を顰める紅子さん。
快(蒼)「あっちの新一も大変そうだったな
紅(翼)「ええ、本当にいろいろと大変よ」
新(蒼)「なあなあ小泉さん」
快(蒼)「っ!!?」
べたりと、今度は紅子にくっつく新一(蒼)
甘えたがりだからいちいちくっつくらしい。
紅(翼)「どうかしたのかしら?」
上目遣いに見上げられてちょっと動揺している紅子さん。
そりゃあ、同じ顔だし。
新(蒼)「おっきくて黒いのな、西のほうから来るぜ」
紅(翼)「!」
新(蒼)「なんか、たくさんちっちゃいのもいるぜ?」
紅(翼)「そう」
教えてくれてありがとうと頭を撫でると、えへへと嬉しそうに笑う新一(蒼)
我慢できずに快斗は紅子から新一を引き剥がして抱き締めた。
新(蒼)「快斗〜?どした?」
快(蒼)「新一は熱があるからさっさと寝ようね〜ということで、後は頼むよ」
紅(翼)「やっぱり心が狭いのね」
新一から仕入れた情報を元に、対策を練るため部屋を出た。

キ(翼)「西ですか」
紅(翼)「ええ、あちらの新一君の話では」
キ(翼)「恐らくそうなのでしょう。伏兵の可能性もありますから気をつけて
紅(翼)「ええ、そうさせてもらおうわ」
新(翼)「くぅ」
泣き疲れて眠ってしまった様子。
紅(翼)「彼、貴方たちと同じよ」
キ(翼)「は?」
紅(翼)「嫉妬深いところが特に」

 

 

 

キ(翼)「敵は西からのようです。」
快(翼)『西〜?ちょっと、今は東方向よ?まったく、無茶いってくれるね、キッド。』
連絡を取り合う二人。

双子という事もあってか、以心伝心というか、テレパシーが使えたりもする(便利?!
新(翼)「くぅ・・・にゅ・・・。」
少し顔をしかめる。
キ(翼)「どうやら、近づいてきているようですね。」
快(翼)「あー、でも。なんでキッドが良いとこ取りするかな?!」
ずるいずるいと騒ぐが、仕事をしろといって通信手段を切った。
その時、ふぃっと目を覚まして起き上がる新一。
新(翼)「・・・・・・来る・・・。いかなきゃ・・・。」
何故か泣いてはいない。何より、目がうつろ・・・。
キ(翼)「新一?」
新(翼)「いかなきゃ・・・。待ってる・・・。迎えに来る・・・。」
ふらふら〜っと導かれるように歩き出す。もちろん、がっしりと腕を攫んでベッドに戻すが。
キ(翼)「駄目ですよ。今は寝る時間です。外を出歩く事は許しません。」
新(翼)「・・・。」
キ(翼)「いい子ですね・・・。だから、大人しくしていてください。」
そういって、再び眠りに付かせたのだった。

 

 

 

どたどたどたどたどた


ばこん!


快(蒼)「羽コンビ!」
ちょっと前屈みに再び快斗が部屋に乱入。
キ(翼)「今度はコンビですか(ため息)」
快(蒼)「だってもう一人いないじゃねぇか」
キ(翼)「まあそうですが、どうかしましたか?」
快(蒼)「新一が逃げた!」
キ(翼)「は?」


呆然。


逃げたって何?
快(蒼)「寝てたんだけど、いきなり外に行くって言い出して勿論止めたさ。でも、黄金の足を持つ新一を止めるのはさすがの俺にも無理でした(涙)」
どうやら腹部を蹴られたらしい。
キ(翼)「という事は操られているのですか?」
快(蒼)「多分。目が虚ろだったし」
新(翼)「うにゅ?」
快(蒼)「こっちの新一は?」
キ(翼)「泣き上戸ですから止めるのは簡単でしたよ。困りましたね彼らの狙いは新一ですが、そちらの新一ではありませんし
快(蒼)「し、新一が危ない!?」

快(翼)「むー、キッドばっかりずりーよ絶対俺が先に新一の羽根を見たこととか根に持ってる
がさがさと、真と別れて西を目指す。
そのとき、向こうからがさがさと何かがやってくる。
快(翼)「ん?この気配
新(蒼)「(がさっ)あ、羽快斗!」
快(翼)「羽快斗って
パッと顔を輝かせて抱きついた新一。ちょっと戸惑いつつ振り払わないのはやっぱり新一だから?
快(翼)「何でここにいるのさ」
新(蒼)「呼ばれた〜えへへ、おめぇも何してんだぁ?」
快(翼)「俺たちはお前たちをこうした原因をて、呼ばれたぁ?」
そのとき。
ぱかっと地面が開きました。
快・新(翼・蒼)「「わあああああ!!」」
落下していった二人。
何で穴が!?

 

 

 

キ(翼)「・・・どうやら。少々厄介な事になっているようです。」
快(蒼)「はぁ?どういうことだよ。」
キ(翼)「快斗の気配が途切れました。新一といっしょに。」
快(蒼)「なぁ〜にぃ〜〜〜?!
新(翼)「うにゅ・・・?」
快斗の声でお目覚め。
キ(翼)「まだ、無事でしょうが・・・。どうやら、私の感知できる範囲からはずれたようです。」
キッドは光のある場所限定なもので。
キ(翼)「新一・・・。貴方に探して欲しいのですが?」
新(翼)「にゅ・・・?快斗を?」
キ(翼)「そうです。」
新(翼)「わかった・・・。・・・えっと、西の方。ここから数十メートル。穴の中・・・。」
すっと、少し翼が透けて、意識もしっかりしているのか答える。
だが、すぐにこてんとキッドの肩にもたれかかって眠る。
キ(翼)「・・・との事のようなので、行きましょうか。」
快(蒼)「ああ。(透明になるもんなのか・・・?)」

 

 

 

快(翼)「あいたたた
新(蒼)「目ぇ回った平気か?」
快(翼)「まあね。変な出っ張りに引っかかってよかったね。したにはなんか尖った物が見えるから」
そのまま落下していたらぐさり、ですな。
快(翼)「キッドたち気付くかなぁ
新(蒼)「平気だろ。黒羽に迷惑かけるな
快(翼)「治ってる?」
新(蒼)「なんか体が楽になってな菌っつーかウイルス?も外に出てってくれたみてぇだ。ほらなんか、親玉が近いんだろ?もしかしたら帰ったのかもな」
快(翼)「変わり身が面白いよ」
新(蒼)「う、うるせぇ!俺だって好きでくっついてたわけじゃっ(////)」
どうやら覚えているらしい。
後で新一(翼)の反応が楽しみだとにやける快斗。
新(蒼)「で、どうしようか。なかなか出にくいところだぜ?」
快(翼)「飛べば速いけど
新(蒼)「飛べねぇの?」
快(翼)「ここ狭い」
羽を広げたらはばたく隙間がないらしい。
ああ、なるほど。
新一はちょっと遠くを見た。
新(蒼)「じゃあこの横穴に入ってみるか?」
快(翼)「いつの間に(汗)」
新(蒼)「待ってても誰も来なくちゃ意味がねぇからな。自力で出来る所までやらねぇと」
快(翼)「この先に親玉がいたりして」
新(蒼)「あはは、言うなよいそうじゃねぇか」
とか言いつつ進む二人。
結構いいコンビか?

 

 

 

キ(翼)「新一がいうには、このへんですね・・・。」
背中に新一をおんぶして、やってきました。
隣では、少しうらやましそうにしている快斗の姿もあります。
快(蒼)「呼んだら返事があるかな?」
キ(翼)「無理でしょう。ここはねじまがっていますから。」
新(翼)「うにゃ・・・。」
きゅっとキッドの背中にくっついて、すやすやと眠っています。
キ(翼)「とりあえず、邪魔なものを排除しますか。」
さぁっと翼を広げた事で姿を見せたそれ。快斗は今まで気付かなかった黒い陰の存在を見つけた。
キ(翼)「邪魔立てするのなら、容赦しません。」
翼から何かが放たれ、影はあっけなく消えた。
キ(翼)「奴等がいたということは、このあたりで間違いないようですね。」
快(蒼)「新一っ!」
どこだと叫ぶが、返事はまったくない。


その頃。
新(蒼)「・・・。」
快(翼)「どうかしたのか?」
新(蒼)「なんでもない。何か、聞こえたような気がしただけだからな。きっと、空耳だ。」
その声が快斗に似ていたような気がしたが、ここにいる快斗の声と混じり、気のせいだと判断した。
それが、本当に自分が会いたい快斗だとは気付かない。
歩くに連れて、だんだんと道が広くなっていく。
快(翼)「いかにも何かがいますって感じだな。」
新(蒼)「お約束って奴だな。」
面白みも何もねぇと文句をいう新一に対し、面白くはないでしょと苦笑する快斗。
さて、ご対面か?

 

 

 

新(蒼)「
快(翼)「……
新(蒼)「ふう(ため息)まだ熱があるのかも
快(翼)「うつったか?」(真剣)
新(蒼)「つかぬ事を聞くけどな、快斗」
快(翼)「何?新一」
新(蒼)「もし俺の目が正常ならいい。目の前に何が見える?」
快(翼)「そういう新一は何が見えるのかな〜?」(満面の笑み)
新(蒼)「……
快(翼)「せーのでいう?」
新(蒼)「頼む」
快(翼)「じゃ、せーのっ」
新・快(蒼・翼)「「でっかい蛾」」
二人の目の前には自棄に毒々しい蛾が一匹。
新(蒼)「何で地下に蛾がいるんだ?」
快(翼)「あの菌っつーかウイルスって蛾のりんぷんだったんだ〜
新(蒼)「さすがにこんな近くで見てるのは気持ち悪いななんかうごかねぇし」
快(翼)「もしかして弱ってるとか?」
新(蒼)「なあ、もしかしてだけど」
快(翼)「ん?」
新(蒼)「確信のないことはあまりいいたくないんだけど」
快(翼)「言って欲しいな」
新(蒼)「こいつもしかして俺たちに害を与えるとかそんなんじゃなくて

そのころ、三人は。
快(蒼)「囲まれてねぇか?」
キ(翼)「そのようですね」
新(翼)「えうっ」
ぐすぐすする新一を抱えながら、身構えるキッド。
快(蒼)「ああもう!新一はどこ何だよ!」
切れてきてます、快斗さん。

 

 

 

キ(翼)「しょうがないですね・・・。」
新一を近くの木の根元に下ろして、攻撃態勢に入る。もちろん、快斗はしっかり切れて、すでに交戦中。


そんな時。
新(翼)「にょ・・・。ん・・・?呼んでいる・・・?・・・誰?」
新一の様子がかわったことに誰も気付いていない。
新(翼)「お前が、教えてくれるのか・・・?」
その樹から感じ取る、この場所にいる何かの訴える声。
翼の色を変え、その樹から声を聞き取る。その時、キッドは新一の羽の様子が変わったことに気付いた。
新(翼)「・・・そっか。苦しいんだ・・・。」
どうやっていけばいいのかと聞こうと思ったとき、自分に向かってくるキッドが見えた。
キ(翼)「新一っ!!」
ずぼっと穴が開き、まったくどういう状況かわかっていないのか、ぼーっとしている新一は穴の中に飲み込まれていった。
キ(翼)「新一ーーーっ!!」
手を伸ばしても、それは間に合わない。
キ(翼)「新一・・・。しん・・・い・・・ち・・・。」
気配を感じられない。感じる事が出来ない場所に彼はいる。
そんな様子に、敵は倒した後近づいた快斗は声をかけられずにいた。

ずべっと何かが落ちてきた。
新(蒼)「何だ?!」
快(翼)「し、新一?!」
新(翼)「いてて・・・。・・・快斗・・・?」
こんなところで何してるんだという感じで頭に?マークが飛び交っているのか、首を傾ける。
また、それが可愛くてしょうがなくて・・・。
快(翼)「あ、えっと。新一も穴から堕ちたの?」
新(翼)「穴・・・?ああ、あれか。いや、俺は誘われただけ。」
どうやら元に戻っているようだが、意味がわからないのだが・・・。
新(蒼)「誘われた?何に?」
新(翼)「たぶん、あれだな・・・。」
新一が見た方向には、あの大きい蛾がいた。
新(翼)「またお前は、同じ事を繰り返しているんだな。」
かつて、守護神として君臨していた過去の新一の前にも現れたそいつ。
ただ、新一の持つ力を借りたいだけで、誘ったのだ。
蛾(翼)「・・・神・・・。やっと・・・見つ・・・けた。」
そりゃそうだ。今回は同じ顔と気配を持つ者がいるのだから、間違えるだろう。
新(翼)「ま、いいけどね。ほら、顔上げろよ。」
重々しく瞼をあけるそいつ。かなり大きな目。かなり気味が悪い・・・。背後で引いている二人は今は無視。
新(翼)「穢れを浄化し、彼の者の姿を戻せ。」
光が包み込めば、そこには大きな蛾はいない。いるのは、美しい人の姿をしているが、大きな蝶の羽を持つ女。
新(蒼)「弱ってて、おかしくなってたのか?」
快(翼)「そうなんじゃない?」
新(翼)「正確には、俺たちの敵の闇や邪な気にあてられて、この姿を保てなくなった。それを、戻して欲しいと願った。」
それが答えだと言う。
新(蒼)「やっぱり、悪い奴じゃないんだな。」
快(翼)「でも、いろいろと迷惑だよね。」
新(翼)「でもさ。あの姿はかなり苦しんでいる時にしかならないんだ。」
新(蒼)「そっか・・・。」
それだけ、あいつらは活動を広げている。はやく、食い止めねばいけない。
上に、戻ろうかといい、新一は翼を広げる。女もまた、羽根を広げ、道を開けた。

 

 

 

キ(翼)「ふ、ふふふふふ
快(蒼)「お、おい?」
とうとう壊れたか、キッドさん。
キ(翼)「私から新一を奪おうとはいい度胸ですよ
なにやら目がいっちゃってますよ。(汗)
快(蒼)「穴は塞がってるぜ?」
キ(翼)「憎たらしいはっ」
快(蒼)「どうした?」
キ(翼)「快斗と、そちらの新一は私の感知出来ない場所にいますまさか、この下に?」
快(蒼)「!?」
そのとき、二人の目の前でぱかっと穴が開いた。
そこから顔を出す見知った三人と、知らない人一名。
新(蒼)「あ、黒羽」
新(翼)「キッド!」
キ・快(翼・蒼)「「新一!」」
ダッシュで抱きつく二人。その他の二人は無視。
快(翼)「コラキッドー!ずるいぞ!」
キ(翼)「貴方も一緒に落ちていたのですね。真はどうしました?」
快(翼)「あ、忘れてたまあ、館に戻ってるだろ」
快(蒼)「新一、新一〜逢いたかったぜ!」
新(蒼)「は、離せって黒羽!おい!」
快(蒼)「この口調は何時もの新一だな治ったの?熱は?どこかだるくない?」
新(蒼)「////)」
熱のある期間の行動を思い出している様子。
キ(翼)「ところで新一、この方は?」
ひっそりと佇む美人。
新(翼)「過去、俺に助けを求めてきた奴同じ翼を持つ者だけど、俺たちとは微妙に違う羽を持つ。魔に影響されやすいんだ。あいつらの被害者だよ」
蛾(翼)「かちょう、華蝶と申します
新(蒼)「蛾なのに蝶なのか?」
華(翼)「はい」
新(翼)「もう、毒されるなよ」
華(翼)「我等が君には、ご迷惑をおかけいたしました。ありがとう存じます」
ふわりと頭を下げて、飛び立つ。
その解き放たれるりんぷんは仕方ない。
皆は口と鼻を抑えて見送った。
キ(翼)「人騒がせですね
新(翼)「仕方ねぇよ、あいつも被害者だ」
新(蒼)「あー、ところでさ」
快(翼)「んー?」
新(蒼)「熱とか出してて忘れてたけど、俺たちってどうやって帰ればいいんだ?」
ちなみに帰り道もわかるか?
そこはかなり森の奥。
五人は顔を見合わせて笑って誤魔化した。

 

 

 

とりあえず、館に戻ってきた。
新(翼)「そろそろ離せ。」
キ(翼)「嫌です。」
嫌だと、きっぱり即答です。そりゃ、目の前で連れて行かれては当分無理でしょう。
新(蒼)「大変だな。」
新(翼)「お前もな。」
同じような状況であった。
快(翼)「・・・俺だけ仲間はずれ〜(涙)」
二人を独占していたのだから文句を言うなというのが彼等の意見。ちょっと寂しい。
キ(翼)「それで。何かつかめましたか?」
英(翼)「いえ。それはまだ・・・。今まで前例がない為、外の連絡待ちです。」
キ(翼)「そうですか。」
部屋から出て行った英理。
新(翼)「なぁ。」
キ(翼)「駄目です。」
新(翼)「話を聞け。」
快(翼)「ほら。話は聞いてあげなよ。じゃないと、奪うよ。」
キ(翼)「・・・。で、何ですか?」
新(翼)「もしかしたら、帰れるかもしれないぞ?」
新(蒼)「本当か?」
快(蒼)「どうすれば帰れる?」
新(翼)「俺は、ここの守護者なんだよ。」
快(蒼)「そうだったな。」
新(翼)「この館は特別で、俺が願えば願うとおりになるんだ。」
快(蒼)「それは便利だな。」
新(翼)「だから、俺が願えば、もしかしたら外への入り口を作ることは可能かもしれない。」
快(蒼)「それは本当か?!じゃ、帰れるんだな?」
新(翼)「良かった。警部に呼ばれてたし。」
そんな新一の言葉は無視。行かすつもりはない。(えっ?)
キ(翼)「相変わらず、むかつく屋敷ですね。まったく。」
快(翼)「たまに、新一を隠しちゃうしさ。」
なら、そんなところに住むなよ、あんたら。
新(翼)「とりあえず、試すな・・・。」
そして、壁に手を当てて、何かを呟く。その間に、翼は背中から現れ、蒼から色が抜けていく。
新(翼)「仮の者達の本来いるべき場所へ送るため、入り口となる扉を我等の前に開け・・・。」
なんと、あっけなく扉は開いたさ。

本当に、今までの苦労はなんだというほどあっけなく。
まったくもって、むかつく屋敷である。
キ(翼)「気に入りませんね。」
快(翼)「確かにね・・・。」
だが、こうして彼等は帰れる道が出来たのだった。

 

 

 

新(蒼)「すっげー!」
新(翼)「これで帰れるだろ」
新(蒼)「なんでこっちに着ちまったかの謎は残ったままだけどな
快(翼)「それはこっちで解明するよ」
キ(翼)「我々が巻き込んでしまった可能性のほうが高いですから」
快(蒼)「つーか、俺たちは心当たりがない
そりゃそうだ。
そのとき、開いた扉が大きくぶれた。
新(翼)「さすがに長くは持たないな」
新(蒼)「挨拶はしたかったけどそう悠長なこともいってられねぇか」
快(蒼)「だね」
がしっと、手を繋ぐ。はぐれないためにだ。
新(蒼)「じゃあな!推理談義、楽しかったぜ!」
新(翼)「ああ、俺もな!」
快(蒼)「羽コンビは見ていて飽きなかったぞー」
快(翼)「コンビいうな」
キ(翼)「貴方に言われたくありませんよ」
そうして、慌ただしく穴に吸い込まれていった二人。
同時に閉じる穴。
新(翼)「なかなか、楽しかったな」
さて、これからもまた忙しくなるぞ。
三人は結果を報告をすべく、他の者たちを呼んだ。

 

 

 

新(翼)「結局、原因はなんだったんだろうな?」
哀(翼)「どこかの馬鹿が穴を開けたのよ。」
新(翼)「ブラックホール?」
ここでいうブラックホールとは、他の世界へと繋がる穴の事です。
キ(翼)「まったく、迷惑な人達です。」
新(翼)「複数形?」
快(翼)「まだ、穴が残ってるから、心配なんだけどね。」
新(翼)「・・・じゃぁ、またあいつら来るのか?」
志(翼)「可能性として、私達が落ちる事もあるのよ。」
新(翼)「・・・。」
キ(翼)「はやく、全て塞げたらよいのですがね・・・。」

 

 

 

新(蒼)「て、ここって黒羽の家じゃねぇか!」
ついた場所は、工藤邸ではなく黒羽邸。
快(蒼)「でも、ちゃんと戻ってこれたっぽいね」
新(蒼)「なかなかにハードな冒険だったぜ」
快(蒼)「同じ顔の人が二人もいたし」
新(蒼)「性格違ったしな」
快(蒼)「新一はまんまだったね」
新(蒼)「うるせ(////)」
頬を染めて横を向く新一。快斗がくすりと笑った。
新(蒼)「おい」
快(蒼)「んー?」
新(蒼)「この手は何だこの手は!」
しっかりと、腰に回った逞しい腕。
快(蒼)「甘えんぼ新ちゃんに散々煽られたから、責任をとってもらおうかと
新(蒼)「おい!それは俺の所為じゃっふ、」
快(蒼)「覚悟しなよ、新一」








      あとがき

 第一弾第二弾と、楽しんでやっていたのですが。
 第三弾もやりましたよ。
 前回は舞姫と黒鳥でしたが、今回は翼と蒼ですよ。
 キッドさんきれてます。快斗蒼もきれてます。
 新キャラも登場で、とってもたのしかったですよ。
 新一の甘えん房とか泣いているところとか。
 今回も楽しかった。満足。
 メールでお付き合い頂き、コウsama、本当にありがとうございました。(感謝



     戻る