The start stage 魔法と言う力を持つ者達がたくさんいる世界 中でも、強い力を持つ者がいた しかし、その者はお金をもらえば、なんでもする、魔法教会にとっては嫌な存在 ことによっては、世界の法に触れるようなことさえもする、極悪魔術師 いつしか、逮捕状が出たが、誰も捕らえる事は出来なかった なので、消すという手段も持ち出されたが、最強でもある魔術師をどうにかできる者はいない そして今日も、様々な手を使って、彼等はその魔術師をどうにかしようと策を練り、実行するのだった 両親と、出かけた帰り。 いつもと、何一つ変わらない。 両親は共に有名だったために、よくパーティや舞台に呼ばれる。 自分もそれについていくことが多い。 そして、帰りは真っ暗な夜。 いつもと、今晩は違った。先ほどまでは、何一つ変わらなかったのに。 角を曲がって、あと二十分ほど車を走らせればそれでよかったはずだった。 なのに、突然目の前が、光で真っ白になった。 父がハンドル操作を誤り、三人とも目を開けていられない状況に陥った。 キィーーーーッという、急ブレーキ。そして、強い衝撃が襲い掛かる。 そして、ガソリンに火がついたのか、燃え始める。 「逃げなさい。」 父は母と自分の無事を確認し、挟まった足を抜こうと『魔法』を使う。 母は衝撃の際に自分を庇い、怪我を負いながら、『魔法』で車外へと放り出した。 そして、ぶつかった二つの車が燃えるのを、放り出されて起き上がり、草木の間から両親の無事を確認しようと顔を出して、見た。 「父さん・・・、母さん・・・?」 燃える炎の中で、影が見える。まだ、自分の両親は中にいる。 ふと、ぶつかった相手の車の背後には、所々怪我をしながらも、逃げ出せた者達がいた。 そして、とんでもないことを聞いてしまった。 「くそっ、あいつを逃がしたあげく、巻き込み事故なんてっ!」 「大丈夫だ。目撃情報は洩れないように、相手は燃やしてしまうからな。」 今夜のことは、全てもみ消されるのだと知った。 そして、誰かを彼等が追いかけていたせいなのだが、誰かを捕まえるには、犠牲も必要なのだと言って、助けるどころか両親を殺して去っていく。 気付かれなかったから助かったけれど、うれしくもなんともない。 「父さん、母さん。」 瞳に溢れてくる、涙。右の瞳から零れたそれが、頬を伝う。 「おい。」 背後から、聞こえた声。 「誰?」 振り返るが、誰もいない。一人になってしまったということで、不安定になった心が幻聴を聞かせたのかと思ったが、どうしたと、再び声が聞こえ、木が揺れたかと思うと、声の主が現れた。 暗い夜に映えるような白を纏った男が姿を見せた。 「こんなところで、どうかされましたか?」 こんな場所に、子供がいるなんて普通では考えられないこと。だから、奴等が言ってから、声をかけたのだ。 そして、振り返った蒼い瞳に、相手も驚きというよりも、別の何かを感じた。 「・・・。」 「迷子でしたら、家まで送って差し上げますよ?」 すぐには別れるのは勿体無いような気がしたが、泣いている子供を放っておくことも、連れ去ることもやめた相手は聞く。 「・・・家に帰っても、二人ともいない・・・。」 そうして、自分をその蒼い瞳に映さず、燃える車の方を見る子供。 さすがに相手も、この子供がどうしてここにいて泣いているのかを理解した。 「・・・なら、私の家に来たらどうですか?・・・今回の責任は私にもありますから。」 背後から子供を抱きしめて、来ますかと問いかけると、首を横に振る子供。 「・・・行かない。」 子供の視線は、燃え上がる炎に包まれた車。 「ここにいては危ないですよ?」 「・・・わかってる。」 「貴方の両親が、貴方を助けたのなら、ここで貴方が死ぬと、彼等の行為が全て無駄になりますよ?」 助けられたことは事実。自分達は、魔法が使えるから、逃げようと思えば逃げられた。 なのに、魔法がまったく使えない自分を優先して外へ放り出した。 その後、去って行った男達の魔法で逃げられないようにされ、燃えた。 「とりあえず、行きましょう。・・・火が収まれば、私が必ずご両親の遺体を回収して、墓標を立ててあげますから。」 貴方がちゃんと見つけて安全な場所へと眠らせてあげなければ、誰も知られる事なく排除され、ゆっくり休めないと言い、もう一度、来るか否かを問う。 今度は、小さく頷いた子供。 「でしたら、しっかり捕まっていて下さいね。」 抱き上げて、子供にしっかり自分に捕まるように指示をし、男は魔法で空へと舞い上がった。 ぎゅっと、服を攫む小さな子供の手が、かすかに震えているのに気付く。 そして、泣きたいのに泣く事ができないのだとわかった。 彼は子供をしっかりと腕に抱き、己の屋敷へと戻るのだった。 これが、魔術師キッドと、新一との出会い。 |