同じホームズが好きな探偵の通う学校へと向かう新一

貸してもらった本がとても満足いくものだったので、それはもう笑顔で彼の学校へと向かう

彼を目撃した人達は、皆立ち止まって見ていたが、本人気付く気配なし

 

新一も一応学生だが、生憎朝に事件で呼び出されたので、そのままさぼることに決定

最後の授業を受けている頃だから、行った時にはちょうど終わっているだろうと

そして、見えてきた学校

 

ちょうどチャイムが鳴った

 

・・・終わったところのはずなのに、門を曲がって中へ入ろうとしたら、突然人が出てきた

突然だったので避けることができず、ぶつかってお互いその場で倒れてしまった

 

「いてて・・・。」

「ごめん。」

 

誰だろうとお互いが相手を見ただろう

そして、相手はあまり驚いていないようだったが、新一はかなり驚いた

 

こんなところに鏡なんてあったっけとぼけたことを思いながら・・・

 

 

 

 いつか必ず

 

 

 

しばらくお互いの顔を見ていたが、すぐに相手が動いた。

「本当にごめん。大丈夫だった?」

人懐っこそうな笑顔で近づいてくる相手。

「それにしても、こんなところまでどうしたの、工藤新一君。」

「・・・名前。」

「あれだけ有名だったんだよ?知らないはずがないでしょ。」

そういえば、たまに報道されて名前が出ていたなとどこか他人事のように思っていた新一。

手を差し出されて、それに自分の手を重ねて、起こしてもらった。

同じような体格なのだが、結構力あるんだなと、やっぱりどうでもいいようなことを考えていた新一に、声がかかった。

「工藤君。」

こちらにむかってくる目当ての人物。そういえば、白馬に会いに来たんだっけと思い出す。

「く、黒羽君っ!君って人はっ!」

工藤君を離しなさいと何でか怒鳴ってる。めずらしいなと思っていると、ひょいっとぶつかった相手、白馬が言うには黒羽という男に抱きしめられた。

いまいちわかってないので、どうしてこうなっているのだろうと考えていたら、また白馬が怒っている声が聞こえた。

「工藤君が嫌がってるでしょ?」

さあ、離しなさいと言うが、一向に引く気はないらしい。

「別に、工藤は嫌がってないぜ?抵抗しないし。」

勝ち誇ったような笑みでさらに新一を抱きしめる腕の力を強めて、言い返す。

「せっかくの出会いだから、親睦深めてるだけだし、お前にとやかく言われる筋合いないと思うけど?」

なんだか楽しそうな顔をしている。そんなに白馬と言い合うのは楽しいのだろうか。

そんなことを考えてふと思ったことが口にでていた。

「・・・お前、白馬のことが好きなのか?」

ほら、よく好きな相手には構ってもらいたいと思うらしいから。

そんなことを言えば、白馬も黒羽もぴしりと固まる。そして、新一を見る。

何か悪い事を言っただろうかと首をかしげていると、はぁと二人のため息が聞こえた。

白馬はたまに見るが、こんな初対面の奴にまでため息をはかれる覚えはない。

せっかくのご機嫌だった気分は不機嫌に変わっていく。むっとなって、言い返そうと思って、ふとこの腕に覚えがあるなと過去を振り返る。

以前も、こんなことがあったような気がする。

「工藤君。おかしなことを言わないで下さい。彼が僕のことを好きだなんて、世界がひっくり返りますよ。」

「そうだよ、名探偵。どうして俺があんなのが好きだなんて。」

とてつもなくダメージを受けているらしい。

だが、彼が言う名探偵という言葉でなるほどとなっとく。

ぽんっと手を叩いて、お前あの時の変人かと相手の顔を見て言う。

さすがに、先ほど以上なダメージを受ける。なんだか、少し泣きそうな顔をしているが、気のせいだろう。

「そうです、工藤君。彼こそ、あの怪盗キッドなのです。ですからっ。」

「なぁ、怪盗キッドって何だ?」

さらに二人の間で間が出来た。

「あの、工藤君?怪盗キッドをご存知ない?」

「・・・記憶にはないな。それに、怪盗って泥棒だろ?」

「はい。そうですが。」

「泥棒には興味ないし。」

興味ないの一言で、あの世界を翻弄する怪盗に徹底的なダメージを与える新一。

「それに、こいつはお前のクラスメイトだろ?お前が好きな。」

「「違う。(違います)」」

見事にはもる二人に、仲いいなとのん気な事を考える新一。

そこではっと、本来の目的を思い出した。

「あ、白馬。これ返しに来た。」

相変わらず腕の中にいるが、目的を果たそうと白馬の方へ借りていた本を渡す。

「あ、ありがとうございます。」

そして、白馬がそれを受け取った瞬間。

「黒羽君っ!」

突然新一の腕を攫んで走り出した。突然どうしたんだろうと思いながら、とりあえずついて行く新一。

適当な場所で適当に喫茶店に連れ込まれて、何故か珈琲を飲んでいた。

おかしいなぁと思いながら、珈琲を口にする新一。あ、結構ここのは美味いかもとか思いながら。

「あの、工藤。」

「んー、何?」

「どこまでお気づきなんでしょうか?」

「・・・気障な変人。」

改めて聞くとやっぱり辛いものがあると、肩を落とす相手に、何か悪い事をいっただろうかと、やっぱり悪気ゼロの新一は首をかしげる。

 

 

 

なんとか、快斗は新一に認識を訂正させて、しっかりとお知り会いになったのでした。

だが、まだ恋心を寄せる快斗には、道は長いようです。

ですが、いつか必ず彼を手に入れてみせると、再度怪盗は誓ったのでした。







     あとがき

 ある方に差し上げようとして没にした作品その1です。
 なんだか、あまりにもわかってない探偵さんなので、怪盗さんは大変な日々を送るでしょうという内容です。
 でも、いつか必ずというだけあって、本当にそうなる日は来るはずなのですが・・・。
 いつでしょうね・・・それは・・・。


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