終章 皆仲良くは出来なかった
とりあえず、食事を済ませた彼等。 そして、聞けば蓮は少し困った顔をして優作の帰国の情報を伝えた。 「悪いけど、もう少しだけ付き合ってもらうよ。」 その蓮の言葉に新一関連ならばしょうがないと動くところがなんとも言えないが。 だが、約一名、かなりご立腹のようだった。 「あの野郎・・・。」 父親に、それも世界でさえ手玉に取るような危ない人をあの野郎扱いできるのは貴方ぐらいだと、皆は思っていることだろう。
さて、家に帰ってみれば、しっかりとそいつはいた。 「どういうことだよ、このクソ親父っ!!」 「あ、帰ってきたんだね。どうだった?」 と、のん気にお茶を飲んでソファに座っている優作がいた。 「何が帰ってきただ、どうだっただ!だいたい、何しに帰ってきやがったーっ!!」 喧嘩といっても、独りで騒ぐような感じで、突如始まったそれ。 背後にいる彼等はどうしたらいいものかわからず、ただ立っていた。 「それに、どうせあの面々はすでに決まっていて、名前も決まってたんだろ!」 確かに、それは事実なので、やっぱりわかってたんだと蓮は苦笑する。 だが、やっと構ってもらうきっかけが出来て、それを大いに利用しようとしている怪盗君はすっと新一の身体を捕らえて、ぎゅっと抱きしめる。 「おや?大きくなったね、快斗君。」 しっかりと名前はばれていた。 「盗一と似てきたねぇ。」 「父さんを知っているんですか?」 以外のようで、以外でない気もするが、知っている人に会うのはそうそうない。 「彼は大切な友人だったのだよ。それが、先にいってしまうとはねぇ。」 友人というが、悪友の間違いではないのかと誰もが思う。 何せ、初代怪盗キッドなのだから。 「それより、お前も離せ。」 絡みつくようにしっかりとくっついてくる怪盗をはがそうとする。 「何時までも馬鹿な事をするようだったら、盛るわよ。」 「それは、ご遠慮願いたい・・・。」 彼女なら本気でやるから油断できない。 「活動拠点はここかお隣、あとは猫さんと彼の店あたりで。」 猫こと、本名叶は情報を手に入れる為に、ある喫茶店で働いている。 そして、意外な事にその喫茶店のオーナーは蓮であったりした。 普段は、蓮の側にいる男が客の相手をしているので、彼女は知らなかったのだ。 「まったく、何なのかしらね。この繋がりは。」 世間は本当に狭いものだった。 そして何より、仲良く慣れそうにはない面々だった。
何だかんだとしばらく話をして解散となった。 しかし、怪盗キッドこと、黒羽快斗は居付くつもりらしい。 何気に、父親も新一の生活習慣が見ていられないといい、頼んでいた。 「今すぐ帰れ。」 「やだ。一緒にいるの〜。」 「なんなんだよ、その口調!」 「だって、地だし。地まで演じる必要はないし〜。」 「うわ〜、イメージの崩れる奴だな。ファンに見せて来い。」 相変わらずじゃれているかのように、くっついている快斗。それをはがそうとする新一。 「いい加減にして頂戴。私は余計な人がいるのは嫌だけど、工藤君の生活習慣が治るのなら何も言わないわ。」 つまり、悪化するようなら覚悟しておけということである。 「その点は問題なしだよ。」 「お前の存在がすでに問題ありだ!」 相変わらずぎゃーぎゃーと言いながら、今日は終わっていくのだった。
からくり屋敷の遊戯・終わり
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