今度何時会えるだろう。

そんな事を考えていた。

いっその事、家まで押しかけてみようか。

そう思ったら、なんと彼から現れたのだ。

どうやら、俺の正体は目的同様にばればれのようだ。

学校の校門前で待っていた彼。

もしかしたら白馬かなと、少し嫉妬心を持ちながら門へと足を進めれば目があった。

そして、名前を呼ばれた。夜の名前ではなく本当の名前を。

凄いなと思う。

自分を見つけてくれた彼。まるで、魔法を解いてくれたかのようだ。

 

 


 2nd act 魔法の力を持つ者

 


 

気がつけば、工藤邸へと足を進め、リビングのソファに腰掛けている自分。

浮かれてすっかり忘れていたが、いったい自分を誘って何の用なのだろうか。

「ココアでいいよな?確か、甘いもの好きだろ?」

データもしっかりと知られている様子。

こっちはまだ、新一のデータは集められていないのに。なんだか、ちょっとした敗北感を味わっている感じだ。

「それで、いったい何の用なの?俺が怪盗キッドだって、警察に差し出すつもりなの?」

「いや。お前の母さんからも許可を取ったし、ちょうど話をするところだったというので、ちょうどいいから俺が話そうと思ってな。」

「何を?」

まったく、展開も読めなければ話の先もわからない。いったい、新一は何を言いたいのだろうか。

「お前の父親と母親。」

「母さんと父さんがどうしたんだよ?」

「二人は人とは違う者達だ。」

いきなりの言葉に、何が違うんだと文句を言おうとすると、目を見て動きを止められた感じで、声も出なければ、立ち上がる事も出来なかった。

「・・・わかるか?俺は今、お前の体へ命令を下した。動くなと。言葉を話す事も体の機能が動いてはじめて出る。だから、全て留めろと言った。脳と心臓以外をな。」

こんな事があっていいのだろうか。まったく、縄で自由を奪われてしまったかのように身体を動かす事は出来ない。

「まずは最後まで話を聞け。・・・これでわかるように、俺もお前の父さん達同様に人ではない者だ。」

確かに、ここまで自分の自由を奪える奴はそうそういないし、新一はタダ目の前のソファに座っているだけで何もしていない。

信じられないが、クラスメイトにこんな事が出来る魔女と名乗る女がいるので信じざる得なかった。

だが、一目ぼれをして好きな相手に(男だが)こうも簡単に動きを封じられるなんて、かなり情けない気もする。

「話して知っているものだと思い、この前会いに行ったのだが、どうやら俺が空から降り立った事に気付いていないようでな。まずはそこから話をするべきだと思ってな。」

確かに、この力を信じることを前提にしないと話は通じないのかもしれない。かなり、企んでいる気がするのは気のせいではないだろうし。

「俺は高校を通っている。こっちでな。だが、今年からあっちの学校も通っている。・・・お前の両親が通っていたところと同じ、魔法学校だ。」

現実逃避してもよろしいですか?というか、父さん。貴方は何者なんですか?

少々、思考が追いつけない。

「それで、お前はどうするのかという事を、お前の母親は今年言うはずだったんだ。お前は行く資格を持っているから。だが、いかないと本人が決める事も出来る。」

「・・・。」

それはつまり、魔法使いになるための学校へ行って、魔法を習うという事だろうか?

なんだか、いつもは魔女と名乗る彼女を信用していないが、自分もその仲間になるのだろうか。少し、嫌な気もする。

しかし、新一と一緒にいる時間と口実が出来るのなら、いいかもしれない。

動機はとっても不純だった。

その時、きぃっと、部屋の扉が開き、そこに一人の少女が立っていた。

「あ、来たか。」

「ええ。呼ばれたから来てあげたわよ。」

かなり口調の厳しい少女。見た目の年齢は嘘っぽい気がする。すると、どうやら心の声を聞き取ったらしく、彼女はしっかりと答えてくれた。

「その通りよ、こそ泥さん。私は貴方達と同い年だもの。こっちではこの姿をとっているけれどね。」

なんだか、その目線が怖いです。とっても怖いです。

思考が逃げようとした時、新一に声を掛けられて、戻ってくる。

「学校への入学はとっても簡単。力さえあれば誰でも入学は可能なのだから。あとは、保護者の承認と学校長の許可があれば問題はない。どうする?」

「そうなんだ・・・。でも、今言えばそれが決定?」

「本当に、何も知らないのね。」

「・・・すみません。本当に、知らないんです。」

保護者からは既に承諾済みなので、快斗は行くと決めた事により、自動的に入学が許可され、入学通知が届けられた。

それでいいのかと思うぐらい、その作業ははやかった。

まぁ、あそこは基本的に力を持っていれば入学が許可されるのだ。

快斗は両親同様もしくはそれ以上の力を持っているので、何も問題はない。

だが、そんな事を快斗はしるわけもない。だからこそ、不安にもなるのだ。

 


 

「これで、俺たちクラスメイトだな。」

通知表にはクラスまで書かれていて、どうやら新一も同じらしい。

そして、出来れば離れたかった彼女とも同じだった・・・。

「これから、よろしくな。」

その笑顔がまぶしい・・・。

やっていけるのだろうとか、少し遠くを見て、現実を逃避してしまうのは仕方ないと思う。

 





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